2013年4月4日木曜日

アテンザの「社会的機能性」その2

  「なぜアテンザを選ぶか?」その答えは人によってそれぞれでしょう。実際にクラウンではダメでアテンザにしかできないことは意外と多かったりします。例えばクラウンの車内で流す音楽といえば何を想像するでしょうか。これは偏見かもしれませんが、クラウンにはラジオ番組か加山雄三くらいしか思いつきません。別にどんな音楽をかけるのも自由ですが、レディ・ガガやGReeeeNが流れていると可笑しく感じます。アテンザなら宇多田ヒカルだろうがMUSEだろうがなんでもO.K.です。ピンクのクラウンならレディ・ガガっぽいですが・・・。

  簡単に言うと、アテンザの方がクラウンよりずっと「自由」なクルマです。最近ちょっと有名になってきましたが、それでも誰が乗っても様になるし、20歳代前半の人が乗っても決して生意気ということはないと思います。ただ大企業の重役の方が乗るにはちょっとケチ臭いクルマということにはなるでしょうが、それならばクラウンもマークXもBMW3もメルセデスCも同様にケチ臭いです。レクサスLS・メルセデスS・BMW7のようなクルマ以外は大雑把に言ってしまえば、ケチ臭いのかなという気がします。じゃあアテンザとクラウンは何が違うのか? 失礼を承知で言うならば、社会的身分など関係なく人生が楽しく、主体的に人生を生きてる人が乗るイメージがアテンザです。社会的なピラミッドであるとか、世間体に「がんじがらめ」にされている人にとっての安易な選択がクラウンです。

  アテンザは初代から海外市場をメインに考えて作られたクルマとして知られています。そのボーダーレスな設計ゆえに、国内専用のクラウンに比べて弱点も多かったりします。それでもワールドワイドに売れるクルマというのは、その地域の実情にちょっと合わないくらいの些細な欠点を軽く跳ね返すくらいの「魅力の塊」を持っています。アテンザは日本でも欧州でも北米でもオセアニアでも売れているという、それこそMBやBMWをも上回る魅力を秘めた「頂点の一台」です。クラウンが日本市場に特化して極めた一台なら、アテンザはMBやBMWのような欠点を持っていても売れる「ブランディング」カーだと言えます。

  クラウンは機能的にアテンザを上回っているかもしれませんが、アテンザが築いてきた海外でも売れるクルマの「核心的」部分では、まったく太刀打ちできません。トヨタがMBやBMWを目指してより低価格で高機能のクルマを作っても追いつくことはできないと思います。現地開発&生産を柱としているトヨタのクルマには「核心」というエゴが決定的に欠如しています。それでも売れるのだからいいという意見もありますが、業績絶好調の2012年トヨタの営業利益は900万台売って約1兆円です。これは200万台しか売れないMBやBMWとほぼ同額です(2011年まではトヨタは5期連続で赤字)。

  ちょっと話がそれましたが、アテンザの独特の存在感はこうした、海外での一流クラスの評価と日本国内でのマイナー評価のギャップが徐々に埋まってきて、日本車ではかつて見た事がないような立ち位置になってきています。作っているマツダの人達がどれだけ確信しているかは分かりませんが、アテンザはマツダが日本で作り海外へ輸出し続けたことで現在の地位に立っていると思います(アメリカでも生産されていましたが)。トヨタがレクサスを作り、日本で組み上げた世界共通のスペックのクルマを海外へ売る事で、アテンザが辿った道をレクサスが進んできていると言えます。マツダ・アテンザはレクサスに「ブランディング」とは何なのかを身を以て教えたクルマなのだから、もっとマツダは自信を持っていいと思います。  (次回に続く⇒その3)

↓新型レクサスISはアテンザの「自由」な空気を必死で追いかけているように思います。

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