2013年4月6日土曜日

アテンザの「社会的機能性」その3

  新型アテンザはそのデザインとディーゼルエンジンが大きくもて囃されていますが、このクルマの「説得力」を強めているのは「内装」だと思います。新型アテンザの内装は、先代モデルからほとんど変わっていません。そのインテリアデザインは華々しいエクステリアデザインのイメージを全く壊す事なく「納得」のいくドライブ空間に仕上がっています。マツダは先代のアテンザですでに内装を明確なコンセプトの元に高いレベルで仕上げていて、その完成度の高さはアテンザの隠れた魅力になっています。

  アテンザの内装のコンセプトとは「機能性を重視したシンプルさ」です。あくまで想像ですがインテリアデザイナーは、おそらく「住み心地の良い部屋」とはどんな部屋なのかを考えた結果のデザインという気がします。調度品がたくさん飾られているような部屋ではなく、色の統一が図られていて、必要最小限の空調とオーディオが小さいパネルに収められ、快適な椅子があればそれで十分というスタンスの部屋がモチーフのようです。高級家電がゴテゴテと置いてある部屋のようなトヨタや日産の高級車とも違うし、「高級アンプ」のように気取られたダイヤルで高級感を演出するMBやレクサスとも違う、独自のインテリアになっています。

  このマツダのインテリアは1人もしくはパートナーと一緒に乗っている限りでは最高に快適な空間になります(好みにもよりますが)。決して華やかではなく、「お客人」を後席に乗せて走るには、ちょっと無作法かな?という気すらします。飾り気がないので「応接間」としての空間には不相応だと思います。ただ決して同乗者を不快にさせるような作りではなく、ただひたすらに「落ち着く」空間になっています。仕事のあとに気分転換にドライブするのには最適なクルマだと言えます。後席に人を乗せるならば、トヨタ・日産・MBなどの豪華な装備が付いた方が「格好がつく」のは間違いないでしょう。しかし、V36スカイラインの内装ならまだしも、新型クラウンの内装は一人で乗っているとなんだか落ち着かない気分になりそうです。よりプライベートな時間のためにクルマを使う人にとっては、アテンザの内装に満足できると思います。

  アテンザは後席に身内や気心の知れた人くらいしか乗せられないクルマです。ただ自分を含めて多くの人が滅多なことがない限り、後席に人を乗せることなんてないのではないと思います。好調のスバルのインプレッサの2011年モデルから、内装をマツダに準じたものに大幅な変更をしています。インプレッサの好調の裏にも内装の大幅な質感のアップが理由になっているようです。2007年モデルのインプレッサの内装も、現行に近いインパネの配置になっていますが、どこか締まりがない印象で販売も不調でした。インプレッサ2011年モデルでは、アテンザの2007年モデルを踏襲した仕様になっていて、その似せ方がちょっと驚きです。それくらいにマツダの内装は、ミドルサイズクオリティカーの「新しいスタンダード」になるほどの完成度を誇っています。


↓2007年頃からのアウディの飛躍には、日本人デザイナー和田智さんの手腕によるところが大きかったそうです。たしかにTTだとかA6だとか妙に日本人の感性に馴染むデザインになってます。

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