2014年9月30日火曜日

アストンマーティン・V8ヴァンテージ 「10年落ちで古臭いけどまだまだ新車で売ります」

  日産のアンディ・パーマーとかいうカルロス・ゴーンの後継者と目されていた人物が、日産を辞めてアストンマーティンのCEOに就任したなんてニュースはどうでもいいのですが、このパーマー氏は日産時代にアストンマーティンの買収を盛んに主張していたようですね。パーマー氏は日産から離脱と言われてますが、これは実は策略で再び日産に再合流して、その結果アストンマーティンがルノー日産の傘下に入るという、ドラスティックな再編劇が始まるのかもしれません。メルセデスとの提携を深める日産は、インフィニティブランドで待望のLサイズ・ラグジュアリークーペをこの10月にも発表する予定で、日本メーカーが未だかつて見た事がない領域に足を踏み入れていくようですが、世界中に鳴り響くスーパーブランドを吸収するのは戦略上とても有効な気がします。

  日産はいわゆる「プレミアムブランド」の価格帯に伝統のスカイラインを格上げして来ました。レクサスISはとりあえず意識していないと陣営は言っているようですが、アルテッツァをルーツに持つ「IS」とスカイラインをルーツに持つ「Q50」の2台が登場したことで、このクラスのクルマは「特別」というわけではなく、ちょっと豪華に設えた「普通」のクルマというイメージが急速に広まっているように感じます。もちろんこの2台とどっこいの水準であるメルセデス、BMW、アウディブランドの各モデルも同様に「尊厳」を失いつつあり、たとえフラッグシップモデルであっても失礼ですがなんだか「つまらん」と感じてしまいます。そもそもこれらのブランドの上級モデルの主な需要はカンパニー・カーですから、いい意味で「普通」ではあるんですけど・・・。

  近頃ではプライベート・ラグジュアリーカーの「新御三家」として、マセラティ、ポルシェ、ジャガーが日本でもアメリカでも人気になっていて、いわゆる「高級車」ブランドの新しいスタンダードとして次第に認知されているようです・・・。しかしこの3ブランドも最近では徐々に廉価モデルが増えていて、ブランド内の平均車両価格も下がる一方のトレンドであり、まるでメルセデスやBMWがこの10年で選択した戦略をそのままなぞっているようです。このままでは数年もしないうちにメルセデスやBMWのような立ち位置の「普通」なブランドに成り下がっていくことが予想されます。さて今後3年の内に「超高性能車」をラインナップして"ハイクラス"を主張できるブランドは一体どれくらい残るのでしょうか。

  そんな中でアストンマーティンというイギリスを代表するGTカー・ブランドは、日本でもその希少さゆえに独特の存在感を放ちつづけています。BMWもランエボも大好きな英国人にとってはドイツブランドも日本ブランドもとても優秀なのは認めるところですが、それでもアストンマーティンだけは別格な存在だそうです。日本人にとってのGT-Rを作る日産のような存在なんですかね。しかし日産はなにやら国内の自動車ファンから辛辣な意見が多数よせられていて痛々しい限りではありますが・・・。個人的な意見ですが日産はもっとアストンマーティンのように愛されてもいいのではないかという気がします。そんな日本の魂の日産が、イギリスの魂のアストンマーティンを買収するなんてことが実現したら、両社の協業に思わずテンションが上がってしまいます。日仏英の3国連合による対VW包囲網という構図もドラマティックで、いかにもフランス人が国民感情を剥き出しに描きそうなプランですね。

  アストンマーティンの荘厳な世界観を纏ったGTカーボディに、日産が誇るGT-R用のV6ツインターボが鎮座してもまったくの興ざめなので、VWグループが誇るランボルギーニとポルシェの2トップのような共存関係を目指してほしいです。アストンマーティンは2007年にフォードグループから売却され、現在はクウェートの資本家集団に経営権を握られていています。その再編の影響はどれくらいあるのか解りませんが、2012年に発売したフラッグシップモデルの「ヴァンキッシュ」を最後に新型車の発表は凍結されています。いかにもアラブの王族が好みそうなV12のスーパースポーツを作っただけで、その下のサブモデルに関しては次世代モデルの開発が先延ばしされているようです。今年になりV8ヴァンテージとDB9という発売から10年経つ両古参モデルの特別限定車が発売されました。10年を超えるモデルサイクルを経てもなお発売が継続されるのは、軽く1500万円を突破するクラスのスポーツカーではほとんど不可能なほどの暴挙だと思うのですが・・・。

  いくらスポーツカーとはいえ、内装のデザインがここまで古くさく感じてしまっては、レクサス、アウディ、メルセデスなどの「普通」のブランドでは試乗の段階でテンションはガタ落ちしてしまうでしょう(つまり売れない)。しかしレクサスやアウディとは違ってアストンマーティンならば、ブランドが持つ超常的な世界観でユーザーを納得させてしまうのかもしれません。アストンマーティンは1940年代からスポーツカーを生産していますが、歴代の生産モデルが愛好家によってレストアを受けて、各モデルの現役率が驚異的に高いそうで、歴代の最量販車種であったDB7は現在でも9割が現役らしいです。つまりアストンマーティンの所有価値は、レクサスやアウディのように乗って内装を楽しむといった単一なものだけでなく、フェラーリやランボルギーニに匹敵あるいはそれ以上のプレミアムリセール価値が見込めることも含まれます。ゆえに内装が時代遅れだとしても何ら大勢に影響はなく、世界のクルマ愛好家は躊躇なく2000万円を注ぎ込むことができるようです。

  そして今回発売された2台の特別仕様車の内の1台が、あの沢村慎太朗氏がオートカーで「近年まれに見る本物」と言わせたV8ヴァンテージN430です。なにが本物か?ということがこの沢村さんのレビューの最大のオチになっていて、詳しくはオートカーを直接読んでみてほしいのですが、まあメチャクチャな暴論をぶち上げて、「スーパースポーツ=超高級車」としか解さないクソ素人を片っ端から薙ぎ払う恐ろしい切れ味を発揮しています。「アストンマーティンに乗って、その感想をブログでポエムしてるアホどもが語るような"官能性”なんてこのクルマには全く存在しない!」「だからこそ本物なんだ!」と素人相手に強烈な"コンビネーションパンチ"を繰り出しています。「オマエらは官能を理解できて無いから語る資格もないし、そもそもリアル・スポーツが何なのかも解ってない!」ってことのようです。

  メルセデス、BMWそれにポルシェやマセラティくらいなら、どんなアホが語っていようとも何とも思わないけど、アストンマーティンだけは絶対に許されない次元のブランドのようで、沢村さんがマジで"ピキる”というわけです。さあ男だったらアストンマーティン買って、「沢村さんはあーだこーだ言ってるけどさ、やっぱりこのクルマのツボは・・・」みたいなことをブログで騒ぎまくりたいと思っちゃいました・・・。V8ヴァンテージN430本体価格約1600万円か・・・はぁ〜。


リンク
最新投稿まとめブログ


2014年9月12日金曜日

ポルシェ・ボクスター 「マツダロードスターとの対峙」

  マツダが新型ロードスターを公開しました。大ファンのブランドの看板スポーツカーですから、買う気があまりなくても気になってしまいます。デザインは見所たっぷりで、とても一言では語り切れない懐の深さを感じます。そして無意識のうちに所有のシュミレーションを始めてたりします・・・。とはいってもソフトトップの2シーターですから、長距離ドライブが好きな身としては完全に2ndカーでしか考えられません。

  500万円くらいで買える過疎地の物件に本拠を移し、現在の借マンションを事務所にするという構想(笑)を実現させない限りはロードスターはなかなか難しいですね。とりあえず田舎暮らしへの憧れだけは年々強まっていて、週末だけでもいいから静かな場所に居を構えたいと思っているので、いよいよ一念発起して物件を探し、隣接地にさらに300万円かけてガレージ作ってしまおうとあれこれ妄想を爆発させてます。近所(東京郊外)にある3000万円台の新築マンション買うよりも経済的にささやかなヴィジョンだとは思ってるんですが・・・。

  今住んでいるところは都心から電車で30分ほど離れた郊外ですけど、青空駐車場を1台確保するのがやっとですから、クルマバカにとっては「東京」なんてつくづく夢がない場所です。近隣にサーキットなんてありませんから、ランエボやシビックtypeRを買ってもその性能を試すことも出来ませんし、公道で交機の単車に狙われるのがオチです。休日に昼まで寝てしまったらもうクルマで出掛けるのが億劫になるほど、日中の道路の混雑はひどい有様です。クルマ好きが東京に住むなら高速の出入り口に近い所しかあり得ない!のかなと最近は思いますね。あと信号が無駄に多いのも・・・。ということでジジイになる前には埼玉だか群馬に引き蘢りたいものです。

  無事に田舎暮らしが達成できたなら、やはりスポーツカーを楽しみたいものです。ロードスターももちろんいいですけど、マツダならば復活するRX7にも大いに期待したいです。なんといっても田舎暮らしですから、ロータリーでも渋滞で燃費が極度に悪化したりしないでしょうから、都市に住む場合とは条件が全く変わってきます。ちょっと洒落た宿泊地や観光地に乗り付けるなら、ラグジュアリーに振ったものになる新型RX7が良さげですね。しかしせっかくガレージを用意するならばオープンスポーツを楽しみたいものです。東京でガレージ付き物件なんて中古でもとんでもない価格になりますし・・・。

  ロードスターのような素性の良いスポーツカーで、かつオープンのモデルとなると選択肢に上がってくるのが、ポルシェ・ボクスター。別に田舎だからといってバカにするつもりは無いですが、誰も見てない田舎住まいならば「S」や「GTS」じゃなくベースモデルで十分ですし、乗り出しで700万円でポルシェはなかなかお得感があります。東京近郊ではボクスターのベースグレードなんて滅多に見かけません。近所の青梅街道ですら新宿に向かって走り出せば、911がそこいら中に現れますから、ボクスターやケイマンに乗っててあまり気分のいいものではないんじゃないかという気がします。とにかく東京近郊にはとんでもない金持ちがちょっと多過ぎますから、とりあえずブランドのフラッグシップ格じゃないととても乗りにくいです。レクサスISとか乗ってるオッサンなんて気持ち悪がられるだけです。

  田舎ならばレクサスLSやメルセデスSクラスに乗ってる方が逆に怪しい人であって、男でも平気でISやCクラスに乗れる!そしてポルシェでもボクスターやケイマンを楽しむならやっぱり田舎住まいだな・・・。そしてソフトトップの難点(要ガレージ)さえ解決できれば、ボクスターのスタイルはケイマンよりも優れていますし、なんといっても日本の田園風景にありがちな幅員の狭い道をまったく苦にしない1801mmの車幅は、林道を心ゆくまで楽しむにはもってこいのサイズと言えます。

  先日、東京駅近くの八重洲ブックセンターに行ってきましたが、8フロアもある超大型書店にも関わらずクルマ関連の本があまり無かったのにはガッカリしました。鉄道よりも人気が無いのは解りますが、バイクや飛行機だけでなく、なんと船舶に関する本よりも少ないとは思いも寄りませんでした。東京のど真ん中に住んでる人はクルマになんて全く興味がないようです。クルマを所有する人なんて、経済感覚の欠如したアホか、渋滞にハマるのが趣味の暇人くらいにしか思われないです。トヨタが若者のために86を作ったところで、そんなものには東京人は全くと言っていいほど興味は起こらないです。なぜなら少しも楽しい気分になれないのを知っているから・・・。東京の真ん中じゃ若い女性がGT-Rやらアストンマーティンやらに平気で乗ってたりします。そこに86ではあまりに惨めじゃないですか?

  「人里離れた田舎でひっそりボクスターを楽しむ」これがこそが、ポルシェやドイツ人が考えるハッピーライフなんじゃないかと思います。約1000kgの軽量ボディが特徴の「マツダ・ロードスター」と1350kgほどある「ポルシェ・ボクスター」。優劣を語るのは野暮なことで、どちらもカーライフの「終着地」に相応しい「禅」的な佇まいを感じさせてくれます。日本全体では人口減に転じていてもまだまだ増え続ける東京都の人口。いくらエコカーがその経済性を追求したところで、自転車やバイクよりも所要時間はかかり、維持にもお金がかかる始末。「本末転倒」なんていう虚無感をアクアやプリウスを見かける度に感じてしまいます。私のような貧乏人には愛車に1000万円も2000万円もかけることにも明確な意義を見出せないです・・・東京のど真ん中に住む大金持ちの為のクルマでしかないと自分に言い聞かせます。

  とにかく金持ちいかんに関わらず、東京のど真ん中なんてクルマ好きにとっては苦痛以外の何者でもないと思います。その一方で田舎でボクスターを楽しみつつ、東京の事務所に出てくるときには小綺麗に洗練されたスバルWRX・S4に乗って・・・なんてボクサーエンジンライフはなかなか素敵だなと思いますね。もちろんロードスターかRX7を田舎で走らせつつ、アテンザで東京に出向くという「マツダ大好きライフ」もいいですけど・・・。  

  ちょっと勢いだけで書いてしまいまとまりの無いものになってしまいました。ボクスターの魅力をいろいろ考察・発見して再びプレゼンしてみたいと思います。


リンク
最新投稿まとめブログ