2014年4月28日月曜日

マセラティ・"アルフィエリ"・コンセプト 「マセラティ版フェアレディZか?」

  マセラティと聞くと、私のような貧乏人にはなかなか縁が無いブランドなんですが、いよいよ「グランツーリズモ」の中古車が500万円を切る価格帯になってきて「無縁」とまではいかないくらいかな・・・。しかしイタリア車に限った話ではないかもしれないですが、欧州ブランドの塗装は酷いもので中古車の「色褪せ」っぷりはなかなか悲惨。街を行くクワトロポルテの「くたびれた」個体の多さにはビックリしますね。いくら憧れのブランドだからといっても、これじゃあ何処に行っても恥ずかしい限り。

  なので「マセラティ」に乗るならば、一世一代のお買い物覚悟で新車を買うべきと考えているのですが、本体価格が「1550万円!!!」に圧倒されてしまいます。「まあポルシェにしとこうかな・・・」なんて獲らぬ狸のなんとやら・・・な感想が思わず漏れますね。最近では「ギブリ」という、やや価格を抑えた戦略モデルの投入で、日本他の主要市場で軒並み前年比300~400%アップを記録しているマセラティは、この「アルフィエリ」という名の2ドアクーペと、さらに1000万円を切る価格帯のSUV(レヴァンテ)まで投入して、さらなるシェア拡大(ブランド安売り)を画策しているようです。

  この「アルフィエリ」開発のきっかけは、ジャガーFタイプの成功だと言われています。1000万円クラスのスーパースポーツ市場は、「ポルシェ911」「日産GT-R」「シボレーコルベット」による三つどもえのスピード対決が異次元過ぎて、これまでは新規参入はほぼ不可能と思われていました。しかしジャガーがあっさりと「突破」したことで、このスーパースポーツ3台の予想外の「顧客満足度の低さ」が露呈しました。0-100km/hのタイムが3秒台であることを、実際のユーザーはそれほど重要視してはいないようです。

  この事実はマセラティにとっては恰好のチャンスということで、その設計を見ると随所にジャガーFタイプを参考にしたと思われる箇所が見られます。「RエンジンRWD」の911と「FエンジンAWD」のGT-Rが基準となるクラスですから、とても「FエンジンRWD」に「4座」という高級車風情の「通常のマセラティ」の定番設計では勝負にならないということで、今回は「2+2座」を採用し限りなくホイールベース中央にドライバーシートを持ってくる設計になっています。911やGT-Rに対抗する「Fタイプ」「コルベット」は完全な2座ですから、ほぼそれに近い設計を踏襲しています。

  これにフェラーリ・カルフォルニアのFR向け8気筒エンジンが載れば、ガヤルドの設計を取込んだアウディR8みたいな立ち位置のクルマになります。詳細は発表されていませんが、全長を考えると「アルフィエリ」はマセラティの新設計ではなく、フェラーリカルフォルニアから基本設計を移植したものと考えられます。マセラティブランドだとしてもV8が載ればフェラーリに近い価格になるようですが、マセラティの主力エンジンはV6ターボへと移行しているので、こちらの搭載モデルならば1000万円以下に収まりジャガーFタイプと競合するようです。

  ジャガーFタイプは1000万円を下回る本体価格で、一般的なクルマ(大衆車・プレミアムカー)とはハッキリと一線を画した「スーパーカー」としてのシルエットを持っています。全長は同じ2ドアの「XK」(4780mm)と比較して300mmほど短くなっているのですが、クルマが持つ存在感は全くと言っていいほどに損なわれていません。「2シーター・マジック」と言うべきでしょうか、2座のクルマがやや珍しくなってきた現代では独特の「高級感」を再び持つようになってきたのかもしれません。ト◯タM◯-Sとかが街に溢れていた昔は、この手のクルマはだいぶ印象は安っぽかったのですが・・・。

  ジャガーに倣って、「グランツーリズモ」を400mmほど縮めた「アルフィエリ」もまた、エクステリアは完全に「特別なクルマ」を表現しています。コンセプトカーのボディが「シルバー」に塗装されているせいもあって、正面は「メルセデスSクラスクーペ」や新たに投入されるBMW8シリーズのプロトとされるモデルに近い印象ですが、側面からリアにかけてどこから見ても、その辺に溢れているレ◯サスやメル◯デスといった「自称:高級車」とはまったく違う磨き抜かれたディテールを誇っています。これで1000万円以下ならばFタイプ同様にお買い得と言えるのではないでしょうか?

  
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マセラティ・アルフィエリ・コンセプト」動画

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2014年4月21日月曜日

BMW M235i 「残念ながら次を待つべき」

  BMWがかなり意識してCMを仕立てていて、70年代の名車を引き合いに出していることからも、引退世代の人々に買ってもらいたいという意図が良くわかる。30~40代といった従来のBMWのターゲット層は今回は完全に置き去りにされている。中にはあのCMでBMWの本質に触れた気分になって買ってしまう若者もいるのかもしれないけど、まだ買うのは早いのかなという気がします。これからこのモデルはさらに良くなっていくのは確実ですから!

  以前に他のブログで「限りなくポルシェに近い!」なんて軽々しく言ってしまいましたが、あと100kgはシェイプアップしないとケイマンの代替モデルには成れないですね。RWDならばミッドシップの方がプロペラシャフトの分だけ確実に重量が稼げますし、この「M235i」のようなFRだとどうしても前方に搭載されるエンジンによって前後重量配分に偏りができてしまい、トラクションを確保するため(駆動輪に車重がかかるようにする)にもクルマ全体を重くしなければいけなくなります。これを抜本的に解決するには、BMWが新型で軽量化された直6エンジンを開発するしかない!となってしまうわけです。

  BMWや日産はセダンベースの改造スポーツモデルを主眼にしているので、ポルシェ(911、ボクスター、ケイマン)を相手にするならば、構造的なハンデキャップを抱えていることになります。VWグループのようにアウディはFFベースでポルシェはRRベースといったトラクション重視の設計はやはりとても説得力がありますし、メルセデスやレクサスのように「スポーティ」をFRで追求することは無益と判じるのも極めて合理的です。「FRだけど根性(技術)でカバーするぞ!」みたいなバカ全開の男臭さが、BMWや日産GT-Rの魅力だったりするのかもしれませんが・・・。

  BMWが最近発売したM3/M4は目一杯?の軽量化に取り組んでいて、400psオーバーのスペックで1500kg程度まで抑えることに成功しています。これでパワーウエイトレシオは従来モデルよりも大幅に向上していて、さすがにスーパースポーツの911GT3には及びませんが、RWDモデルの911カレラSと同水準にまで持ち込んでいます。BMWの執念を感じるM3/M4なんですが・・・いまいち盛り上がっていないのが残念です(価格かな?)。

  さてそんなM3/M4と比べてしまうと1550kgとややウエイトダウンが不十分な印象があるM235i。あれだけスポーティさをCMでアピールしておきながらも、乗り味重視のヘビーな設計にはBMWのしたたかさすら感じます。去年の半ばに報道された南アフリカのロスリンでラインオフしたプロトタイプは車重1350kg程度と報じられていましたが、フタを開けてみると全くコンセプトが変わってしまうほどの1550kgに落ち着きました。果たしてプロトにあった問題点とは何だったのか?考えられるのは2点で、1つは「静音性・乗り味がいまいちだった(ので防音材を追加した)」。もう1つはあまり想像したくないのですが、「軽量化のための素材が高コストなために仕様が変更された」です。

  どちらの理由にせよ新規設定された2シリーズクーペの最終的なコンセプトは、スポーティではなく、高級感ある乗り味に落ち着きました。BMWにおけるこのクルマのポジションを考えると「スポーティ」を連想してしまいますが、乗ってみてビックリの静粛性だったりするわけです。スポーツカーを心から渇望する人にとっては物足りなさがあるでしょうけど、これからBMWオーナーになる人にとっては「さすがはBMW!スポーティモデルでも高級感が隠し切れない!」という満足感につながるのかもしれません。実際にそういうクルマに満足する人が大多数というのも事実なんですが・・・。やっぱり次が見てみたい気がしますね!


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BMW2クーペ」CM動画

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2014年4月14日月曜日

ジャガーFタイプ 「越えられない壁」

  スーパーカーの線引き?というわけじゃないのですけど、「リアル」での会話で話題になったときに、どうしようもない違和感を感じることが・・・。スポーツカーといってもその中ではピンキリで「Fタイプ(1000万円)」「アヴェンタドール(4000万円)」「ヴェイロン(2億円)」の3台は全然別の次元のクルマなんだ!という前提がない人(普通の人ですが・・・)と話をするときは結構厄介だなと思います。とりあえず私のような貧乏人は「Fタイプ」には興味あるけど、「アヴェンタドール」「ヴェイロン」クラスには全く感心がないわけです。

  「この前ジャガーFタイプっていう新型スポーツカー見たんですけど、"存在感"が想像よりも断然にスゴくて!やっぱり音かな・・・」とか率直な感想を述べたりと、まああれこれ話した後で、最後にボソっと「やっぱスーパーカーといえばヴェイロン」みたいなこと言われると、思わず「え?」ってフリーズしちゃいそうになります。そして内心ではヴェイロンなんてコストと使用環境考えるとスーパーカーというより「飛べない自家用ジェット」じゃん! VWもそんなくだらないもの(失礼!)をつくる暇があったら、ホンダみたいに小型ジェット機でもつくればいいじゃん。

  「Fタイプ」も「ヴェイロン」もひとまとめに「スーパーカー」と分類するのが、ちょっとややこしいです。人によっては「Fタイプ」はただのスポーツカーだと主張されるかもしれませんが、日本車初のスーパーカーがホンダの初代NSXだとするならば、このFタイプもスーパーカーでいいと思います。そして実際に道でこれらのスーパーカーに出会うと、もう全てが違うことにガキみたいに興奮してしまいます。

  「マセラティ・グランツーリズモ」や「BMW6」を見ても「いいな〜」とは思いますが、スーパーカーを見た時の「心が震える」感覚とは、残念ながら全く異質で、あくまで「良いデザインの高級車」でしかありません(良いデザインのクラウン?くらい)。FRに4座というありきたりな「高級車設計」であることと、ブランドの他のモデルとデザインを共通としている点がプレミアムブランドの「高級乗用車」であり、その既成概念を全て打破した段階のクルマに「スーパーカー」のオーラが宿るのかなという気がします。

  先日、某高級住宅街の路上でジャガーFタイプに遭遇しました。時速30km程度の低速で狭い路地を突き進んでいましたが、やはり別格ですね。この街区にはパナメーラが青空駐車されていたり、路地に面する住宅前の駐車場の半数以上がドイツ車によって占められているような場所なんですが、Fタイプの「破壊力」は完全にそれらの上に位置しています。その光景を見てこのクルマの隠された「価値」はこれだ!と気がつきました。

  最近ではメルセデスやBMWの価値がかなり暴落していて、輸入車大好きなライター達もこの状況を機敏に感じ取っているようで、昔と比べてEクラスや5シリーズを絶賛するような記事は見られなくなりました。誤解を恐れずいうならば、Eや5が例えばマツダアテンザと比べて良いクルマだと確信させてくれる決め手がなくなってしまったことが大きいのかも。アテンザだけではなく、プレミアムセダンを喰ってしまうような好デザインのクルマは着実に増えてきています。

  もはやAMGやRSといった高性能モデルとレクサスLSやメルセデスSのようなクルマじゃないと「プレミアムブランド」の価値を十分に表現できなくなってきたわけです。カッコ悪いしエンジンは4気筒ターボだし、「メルセデスって何?」「BMWって何?」・・・まあそういう時代です。そんな中途半端なターボエンジン載せるくらいなら、トヨタに頭下げて、プリウス用とカムリ用のHVシステムを貰い受けて1〜7シリーズとA~Sクラスまでベースグレードに使えばいいと思ってしまうくらいです。

  閑静な高級住宅地の近くには必ずといっていいほど「反社会勢力(ヤクザ)」が存在したりしているわけで、Fタイプを見かけた街でも黒塗りのLSやマジェスタが列を成して狭い路地を走ることがあります。そんな場所でLSやSクラスに乗りたいと思いますか? なのでヤクザに思われたくないけど、国産車には無い魅力を備えたクルマに乗りたいという人には「Fタイプ」というのはかなり理想的な選択じゃないでしょうか?


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「ジャガーFタイプの試乗動画」

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2014年4月10日木曜日

BMW M5 「過去のクルマか・・・?」

  「BMWを買うなら絶対にこれ!」みたいなことを言う生意気で世間知らずなアホが10年前にはありふれていたけども、最近じゃ成人式のアンケートで乗りたいクルマの上位にランクインするのは「M5」じゃなくて「BMW(?)」らしい。確かに今どき「現行M5」を大都市の中心部以外で乗り回している人を見かけると、ほぼ例外なく「穏やかな顔」で「眼光は鋭い」。推定される職業は「不動産経営」「貸金業」「水商売」・・・。

  一方で「現行3シリーズ」に乗っている人は「眼が死んでる」。そして推定される職業も「不動産経営(市役所勤務の公務員)」「貸金業(農協勤務)」「水商売(学校の先生)」くらいですかね。「イメージで語るな!」って怒られそうですけど、3シリーズ乗って老後の心配も無いならば「まったく不自由ない生活」じゃないですか?うらやましい限りです。

  ちょっと話が変わりますが、とあるブログでゴルフに乗っている人が、トヨタアクアが売れまくっている状況を悲観して「趣味のクルマ」を買う人が少なくなって嘆かわしい!とぼやいておられました。・・・この人は前々から思っていたのですけど「天才」。つっこみどころがあり過ぎて頭がヘンになりそうです。そもそも「VWゴルフ」ってどう考えても趣味のクルマじゃないですよね?

  やはり趣味のクルマの代名詞といったら「M5」かな。もちろんトヨタ86だってスズキスイフトスポーツだって「趣味のクルマ」ですけど、あくまでフェラーリやランボルギーニのように形から入るタイプ(怒られそうだ・・・)。やっぱりM5はそれらとは完全に一線を画す存在。「外装デザイン」も「車内の質感」も「乗ってからの加速」も、わざと「特別感」を出そうとしないところがBMWの究極的な「美学」。でもとりあえず抜群に速いし300km/h(出したことないから分らないけど・・・)出ちゃうと言われても十分納得できます。

  さてなんで今さら現行M5かと言いますと・・・、ジュネーブMSで登場した「7シリーズクーペ」にがっかりしたからです。M5の「コンサバセダンデザイン&超絶本格性能」とM6の「究極的ラグジュアリー感」この対極の2トップこそがBMWの頂点には相応しいと思うのですが、7シリクーペこと「ピニンファリーナ・グランロッソクーペ」の無機質さとマセラティの後追い感はいかがなものかと。こんなことを言っては失礼千万ですが、このクルマを見てるとBMWのグリルってプレミアムブランドの中でも超絶にダサいなと感じてしまいます(シルバー着色はやめて〜)。


  
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