2014年1月27日月曜日

日産・フェアレディZ34 「ポルシェもいいけど国産スポーツも・・・」

  ポルシェ911現行(991型)のラインナップが次々に登場して実に華やかです。ボトムのグレードでも1200万円ですから、(あくまで想像ですが)実際に選ぶとなるととんでもなく迷ってしまいそうです。オプションではなくボディ形状や「4」なのか「S」なのか「ターボ」なのかといったエンジン&駆動形式が多彩過ぎるなんて凄いことです。ポルシェの最大の敵と見做されている、最強ジャパンメーカーの日産は、7年目にしてやっとGT-Rのユニットバリエーションを2つにするのだとか・・・。これが水野さんが引退した新しい日産の方針のようです。

  GT-RやフェアレディZが単一のパワーユニットにこだわってきたのは、水野さんが提唱する「サーキットでも街乗りでもクルマにとって理想のパワーユニットは1つに決まる」という哲学に基づいていたようです。その独創性に溢れる考え方がGT-Rの誕生には不可欠だったわけで、デビューからの僅かな期間で世界のスーパーカー・シーンを席巻したのだから説得力があります。GT-Rが登場してその挑発的な姿勢に、いままでポルシェに愛着を持っていた人々には複雑な感情が渦巻いたようです。

  そんな日産がこれまでの主張を変えて、ポルシェのコンセプトを踏襲するかのGT-Rのグレードを分けたことに、「ほら見た事か!」とばかりに国産車に手厳しいジャーナリストが騒ぎ出したのもまあ想定内のことでしょうか。水野さんに肩入れするわけではありませんが、デビュー当時の孤高のコンセプトこそがGT-Rの魂であり、ポルシェ911ターボと同等の価格の「GT-Rニスモ」なんて魅力ないですね・・・。天下の日産がポルシェと同等のコストで同等の性能のクルマ作って何が楽しいのでしょうか?「ドイツ車の真似」なんて・・・韓国や中国のメーカーと同じ目線でしかないわけで、そんなことしていたら経済の成長力の差であっさりと抜かされてしまうということが分からないとは愚かなことです。

  それでも日産にはまだまだ世界の最先端を走るクルマを作る!という気概は十分にあるようで、新型スカイラインことインフィニティQ50に込められた日産スピリッツにはまだまだ期待したいです。さらに北米ではスポーツカー・アイコンとしての地位を確立しているフェアレディZにも世界の最先端メーカーとしての日産の気概を感じることができます。このクルマの魅力は、その動力性能ももちろん素晴らしいのですが、ポルシェ・ケイマンなどのライバルの2シータースポーツに比べてどこまでもリードした豊かなデザインです。

  日本にいると日産の代表的なクルマという親近感から、そのデザイン上のアドバンテージには気がつきにくいのですが、ポルシェやジャガー(XK、Fタイプ)を相手にしても決して負けないくらい素晴らしいです。32型はさすがに古くさいですが、33型、34型(現行)と流暢なデザインが続き、デザインに優れたモデルであると海外では広く認知されています。日本人の意識ではメルセデスSLKやBMW Z4に目が行きがちのようですが、Z33(02年デビュー)とSLK(04年デビュー)を比べれば、デザインだけでも日産の完勝は明らかですし、Z4(03年デビュー)は外装デザインこそZ33と互角ですが、内装を比べるとずいぶん古臭く感じます。もっともZ33のデザインも初代TT(98年デビュー)に大きくインスパイアされてはいるのですが・・・。

  耐久性に優れる日産の大排気量NAエンジンならば20年30万キロでも平気で走るでしょうし、ドイツ車の上を行くボディ剛性は経年劣化にも強く、ドイツのように手入れをして長く乗るというスタイルも実践できます。そして33や34に関してはスポーツカーとしての普遍的なスタイルを確立しているので、NSXやRX-7FD3Sのようにいつまでも現役バリバリの新鮮さを維持してくれます。日産の開発者が所有者の幸せを第一に考え抜いて作った傑作車です。911の華やかさもいいですが、ポルシェよりも幸せになれるスポーツカーがフェアレディZなんじゃないかと思います。



  

  

2014年1月21日火曜日

メルセデスSLK 「ある意味で理性的な選択・・・」

  雪でチェーン規制の箱根にわざわざ行ってきました。あの急勾配が続く道を悪天候でもどのくらい走破できるか試してやろうと意気込んでたのですが、特に問題なく登って降りてこれました・・・。現地はというと、私のような雪が好きなマツダ乗りが集結していて、トヨタ車よりも目立つくらい。とはいってもドライブスポットはどこもマツダが多くてプリウスが(比較的)少ないですが・・・。

  さすがにFR車でやってくる無謀な人は少ないかと思いきや、86乗りの行動力を侮ってはいけません。奥さん同伴で雪のターンパイクを登る86が・・・。せっかくスポーツカー買ったのだからドラテクの「修行」に余念がない様子です。東京近郊ではスタッドレス装着率が確実に5割以下なので、雪に出掛けると道路が空いていて快適です。

  世の中には物好きな人がいて、86以外にもFRで雪の箱根に乗り込むクルマがありました。予想外に人気なのがメルセデスSLK。去年ひそかに日本でMTモデルが登場して話題になりました。これでドライブ好きな男性にもかなり買いやすくなったクルマです。本国ドイツではほぼ全ての車種にMTが設定されているのですが、バブル期も日本には全く輸入されなかったようです。

  しかしカーエンスーのこだわりの一つがMTだという揺るがない事実が、スイ=
スポ、86、アテンザのMT人気で実証されるやメルセデスもすぐに動きました。この決断にはなかなか唸らされました。今思うと現在の日本におけるメルセデス復調の予兆はここにあったのかなという気がします。MTのSLKがどれほど売れたのかは分かりませんが、箱根で見かけた2台はいずれも現行モデルでドライバーは身なりのしっかりした高齢の男性でした。

  このSLKもMTが無かった頃は、BMW Z4と同じでバブル世代のオバさん御用達のクルマでしかなく、クルマ好きの男性からは完全に無視されていました。どちらもマツダ・ロードスターのコンセプトをコピーしつつもあまりの車重で、ロードスターとは全く別のクルマになっています。それはそれで構わないのですが、肝心の乗り味はそれぞれベース車のCクラスと3シリーズに近く、スポーツカーにカテゴライズするのが憚られるちょっと悲しい存在です。スカイラインベースのフェアレディZのような独特の表情もなく、まあ褒められないものでした。

  しかし気がつけばCクラスも3シリーズも直4ターボが喧しいモデルばかりになり、高級車然とした6気筒モデルは800万円〜というシビアな価格設定となり、SLKもZ4もやや立ち位置が変わって来ました。8気筒載せるレイアウトのFRのセダンに直4ターボ載せて走るのはあまりにもかっこ悪いですし、800万円出して6気筒モデル買え!というメルセデスやBMWの作戦に乗るのも・・・。

  だったら500万円代で買えるSLK200をMTで乗ったほうが筋が通っている。これでも車重1430kg!なのでV6はとても重すぎてダメ。MTを駆使して直4ターボでも美味しいところを使えばいいじゃん。でも残念ながら最近の欧州ターボはNAエンジンよりも高回転域ではすぐにパワーが落ちてしまうのだが・・・。

2014年1月14日火曜日

レクサスLS 「カッコイイけど、どう乗りこなすか」

  やはり日本車が好きならばコレに乗れるように努力すべきなのかな。メルセデスやポルシェよりも確実にカー・セレブ達を魅了する存在というのは確かなようです。著名なモータージャーナリストやレーサー達がどの車を選ぶかのプレッシャーは、とても一般人には伺い知れないところがあります。超一流ともなればマセラティやジャガーですら「中身のないクルマ」と揶揄されてしまうそうなので、とりあえずSクラス、LS、ベントレーから選んで体裁を取り繕うなんて・・・窮屈なカーライフですね。

  ジャーナリストやレーサーなんて1000万円稼げれば御の字ですから、新古車が700万円で手に入るLSは有り難い存在です。しかも同じ700万円の新古車Sクラスだと直4ターボという「公開処刑モード」のグレードしか買えませんが、LSならば全車V8なのも嬉しいですね。このクラスのクルマが700万円で手に入るならば、リッター5キロの燃費なんて全然気になりません。トータルコストを考えれば・・・。

  新型Sクラスの登場を受けていよいよLSもFMCを迎えるようですが、最近のレクサスは派手にフロントデザインを変えるのでこれがちょっと気になります。それでも初期モデルのようなセルシオとあまり変わらない顔から、大規模なフェイスリフトを行い、従来のトヨタ車デザインと決別を果たして、いよいよLSの人気も本物になってきたようです。

  私のような三流の人間は、誰の目を気にすることなく気楽に好きなクルマに乗れるという「特権」を持っているわけで、フィアット500でもBMW3でもスズキハスラーでも何でもいいはずなのですが、それでもLSに乗ってみたいなと思ってしまいます。超一流のモータージャーナリストはLSくらいしか選びようがないわけですが、三流の私にはLSに乗る「特別な理由」を考えないと逆におかしなことになってしまいます。

  理由その1。法人を創設して、税金対策であることを必死でアピールする。LSオーナーの一番の理由がこれでしょう。しかし毎日せっせと都内をこれに乗って駆け巡るなんて・・・人生の浪費ですね。何の為のLS?それはもちろんクルマで過ごす時間を少しでも意義深いものにする為です。景色のキレイな楽しい道を空いている時間に走らないと・・・。

  理由その2。映画「トランスポーター」の主人公みたいなキャラクターに成りきっているコスプレごっこだと周囲に認識させる。タイトなドレスジャケットに身を固めて、一流ホテルに乗り付けて、風のようにロビーを颯爽と抜け、イメージを大事にしてそうなレストランの一番目立つ場所にすんなり通されるように立ち振る舞いを洗練させる。彼女も楽しんでくれるなら・・・。コスプレのためのLS。

  理由その3。親孝行を生き甲斐としているようなキャラを演じる。実家の家族を全員乗せて買い物や食事に出掛ける。端から見ていて理想的な親子関係だということを見せつける。実家の母にストーブを買ってあげるため量販店に連れて行き、好きなものを選ばせる。「配送になさいますか?」「いや大丈夫です」・・・。ちゃんと載せられるか心配の家族と店員を正面玄関に待機させて、駐車場から颯爽とLSを回送してくる。衆人環視の中大容量トランクにデカい箱のストーブを店員と一緒に積み込む。母親を後部座席に乗せ甲斐甲斐しくドアを閉めてあげる。店員に感謝の意を述べる。そしてエクストラ静かなエンジン音を残して店を後にする。ここまで完璧にできればLSでも嫌みじゃない。