2013年11月29日金曜日

ホンダ新型NSX 「写真写りがちょっと悪いのかも・・・」

  カラーリングによってイメージが大きく変わるのかもしれないですが、青白く見えるくらいに透明感のある白に塗装された新型NSXコンセプトは、写真で見る印象とは全く違った好デザインのクルマでした。アクの強いフロントマスクと大型化したボディのイメージを強く感じていたので、今でも中古車が高値で取引される初代NSXの”再現”とはいかないだろうと勝手に思っていましたが、そんな印象は一目見ただけで吹き飛びました・・・これ欲しいです!

  大型化したはずのボディサイズですが、実車のデザインを全体の印象から見るとGT-Rやコルベットのように大きく見せる作りではなく、むしろ”繊細”という形容がハマるような造形をしています。確かに新しいデザインなのですが、非常にまとまりがあって新しいものに不必要に感じてしまいがちな違和感が予想以上に「ない」です。なんかコンサバなデザインを見ているような安心感だあるのです。それでも似ているクルマがかつてあったか?というと有名なところでは何一つ思いつかないのですが・・・。

  SH-AWDというホンダの次世代ハイブリッドの高級スポーツ向けのものが使われることが、1年以上前からアナウンスされています。この1年でライバルメーカーも次々と新しいシステムを開発するようになり、AWDハイブリッドももはやトヨタとホンダの2大HV先進メーカーだけのものじゃなくなりました。まもなく日本でもリリースされる新型スカイラインはHVのAWDと新しいハンドリングシステムをセットにしてホンダよりも先に発売することになりました。日産はクリーンディーゼルもマツダより早く国内投入するなど、技術面に関しては闘争心を剥き出しにするようです。SH-AWDで来年発売されるレジェンドを狙い撃ちにしたようです。

  日産だけでなくVWグループのアウディとポルシェも豊富な開発資金を背景に、高級スポーツにPHVを組み込んだモデルを用意していています。発売時期もちょうどNSXの前後に重なりそうですが、これに関しては同時期発売はホンダとしては望むところでしょうか。それにしても新型NSX開発のアナウンスこそ積極的に行っていますが、発売時期はどんどん後ろにずれ込んでいくので、ホンダのやり方はどうも発売までがじれったいですね・・・。

  

2013年11月26日火曜日

ジャガー・Fタイプクーペ 「2シーターFRクーペという個性」

  ジャガーの新型スポーツ「Fスポーツ」にハードトップを配したクーペが登場しました。ジャガーというブランドも世間ではずいぶんとナメられているようで、確かに高級車ブランドとしては存続が危ぶまれるような一面もあるせいか「斜陽」なイメージがあるようです。それでもこのメーカーは必死になって今もそのラインナップに「魂」を込め続けていると感じている人も少なくないようです。私もジャガーに頑張ってもらいたいと思っている一人です。

  2シーターのFRクーペしかも価格が1000万円オーバーとなると、もはや小市民の乗るクルマではなく、ゴルゴ13のようなスペシャル・エージェントが愛用するマシンかもしれません。しかし情報化が進んだ現代は、スペシャル・エージェントの時代と言ってよいかもしれません。パソコンなどの情報機器さえあれば、過疎地域に住んでいてもビジネスが出来てしまいます。テレビも新聞も百貨店も書店も”ネット"という悪魔に飲み込まれていくのは時間の問題ですし、すべてのBtoCビジネスはネット広告に牛耳られていくはずです。そして組織に属しないで好きな仕事をする人もどんどん増えていくでしょう。

  組織に属しない自由な空気を吸っている人間の特典は、「好きなヤツだけと付き合っていけばいい」「好きなところに住んでいい」「好きなときに休んでいい」「好きなクルマに乗っていい」・・・・、まあなんでも「好きにしろ」ってことです。余計なことをダラダラ書きましたが、このジャガーFタイプというクルマが新たに世界に現れた理由をあれこれ考えると、日本にもアメリカにもドイツにも"ゴルゴ13"が今後増えていくだろうという「見通し」こそが答えなんじゃないかと思うのです。

  別に1000万円以上する高級車じゃなくて、ジムニーでも別にいいとは思うのですが、高級車にはそれなりの「意味」があります。組織に属しない人間にとっての必須アイテムは高級時計なんだそうです。とくに中国や台湾に行って仕事をするならば、100万円くらいの時計をしていかないとまとまる話もなかなかまとまらないのだとか、いつかの「私の履歴書」にそんなことが書いてありました。つまり一匹狼のエージェントがジャガーFタイプでクライアントの元を訪れれば、「コイツなら信頼できそうだ」となるわけです。そのための1200万円ならお手軽な投資と言えるかもしれません。少なくともセルシオに乗っている人間よりは間違いなく信頼されるはずです。

  レクサスLSの現行モデルよりもずっと「自由な空気」を持ったビジネスカーこそが「Fタイプ」の本質なのでは? 2シーターのFRクーペは「アングロサクソン」のクルマです。ジャガーもそうですが、アストンマーティン、シボレーコルベット・・・英米メーカーが本場です。20世紀のアングロサクソンの成功の象徴と言ってもいいかもしれません。そんなクルマで日本人が調子に乗っていると笑い者なのかもしれませんが、ここまでアメリカナイズされた日本社会でマツダだ!スバルだ!言ってても虚しいだけじゃないですか? 経済そのものが「アングロサクソン」のルールで動いているのだから、フェラーリなんかじゃなくDB9こそがビジネスの流儀!と言い切ってしまっていいでしょう・・・。

  さんざん偉そうなことを書いてきましたが、もちろん毎月のように数千万単位の仕事が舞い込む「敏腕」のみに許される生活です。まだまだ日本にはそういう文化は早いかもしれませんが、TPPが結ばれれば日本も晴れて「アングロサクソン」のルールに支配されるわけです。東京MSでジャガーFタイプクーペをぼんやりと見つめながら、ドイツ車やレクサスなんかじゃなく、このクルマに乗ったヤツが勝者なんだなと感じた次第です。私のようなボンクラでもなんだか心の奥に闘志がひしひしと湧いてくる想いでした・・・。
  

  

2013年11月15日金曜日

フェアレディZ・ニスモ 「軽くできない構造上の欠陥」

  クルマを速く走らせるには何が必要かを一番良く解っている日産が、大排気量NAのFR設計にこだわって作り続けているスポーツカーがフェアレディZです。6気筒エンジンを作らせたら世界一の日産だけあって、ハイパワーが正義のアメリカで今も売れ続ける人気モデルのようです。北米日産の顔といえる立ち位置から、ここまで大きなコンセプトの変更もなく、ズルズルと作り続けているようです。しかし実用性の低さから、だんだんと日本からはフェイドアウトしている印象もあります。

  実際に日本で新車で購入したユーザーが不満を持ちやすいクルマのようで、いわゆるミスマッチを生みやすいようです。ほとんど走ってないのに年数だけ経っている中古車が目立つのもこのクルマの特徴だったりします。たしかに気に入った人は他のクルマが目に入らなくなってしまうほど、中毒性の高いクルマなのですが、やはり2シーターなのに3.7Lで333psを発揮するエンジンはいくらなんでもやり過ぎで、ボクスターSやケイマンSよりも過激なクルマと言えます。

  一般的にポルシェ911と日産GT-R及びスカイラインがライバル関係にあると言われていて、それぞれのショートデッキ版が「ケイマン」と「フェアレディZ」となります。FRのフェアレディZはホイールベースが短くなったためスカイラインよりもピッチ方向に大きく荷重が変動しやすくなっていて、せっかく車重が軽くなった分のアドバンテージが生かせないクルマと言われています。つまり後輪にトラクションを保持し続けるのがかなり難しい設計になっています。

  一方でミッドシップのケイマンはホイールベースを切り詰めても、Zで起こるような弱点は出にくく、むしろハンドリングが冴え渡るので、この2台を比べるケイマンの方にクルマとしての完成度の高さがあります。フェアレディZは少しでもこの弱点を無くすためにロングノーズのスタイルを採用してエンジン搭載部をフロントミッドシップの位置にしたり、BMWと同じように後輪への荷重が十分に確保できるように、前後重量配分に留意した設計をしています。

  しかしこの設計がそもそもBMWと同等と言える欠陥となっていて、前後重量配分を限りなくイーブンにするために車体後方にエンジンと釣り合うだけの重さをぶら下げなくてはならず、車体重量を下げることに限界があります。マツダのロータリーエンジンやスバルのボクサーエンジンはフロントミッドシップに小型軽量でハイパワーのエンジンを積む事でポルシェに匹敵する性能を引き出していましたが、フェアレディZは高級車に使われる3.7LのV6エンジンをそのままドカンと載せてしまっています。

  たしかにこのエンジンは車重が2.7トンほどある日産製の救急車にも使われる強力なものですが、搭載車はいずれも車重を気にしないようなクルマばかりです。そこにラインナップされているフェアレディZは見た目よりももずっと重く、そういうクルマとは知らずに買ってしまう人が驚いてすぐに手放すようです。そういうことをあまり気にしない女性ドライバーに愛好者が多いようですが・・・。

  トヨタ(86)・スバル(BRZ)・マツダ(ロードスター/RX-7/RX-8)・ホンダ(S2000)が徹底的に考えた日本向けスポーツカーを作ろうとしている中で、完全に我が道を行っているフェアレディZですが、新しく登場した「フェアレディZ・ニスモ」は日産がこの中途半端な立ち位置で不人気となっているスポーツカーに再び魂を注入すべく作ったスペシャルモデルといったところでしょうか。VQ37VHRエンジンは直6時代のファンからは相変わらず批判されていますが、そろそろ日産のメカチューン熟成によってかなり良いものになってきたようです。

  スカイラインも国内は全車ハイブリッド化される中で、ガソリンNAを味わうクルマとしての価値は確かに認めますが、レクサスIS350やマークX350とは明らかに違うと唸らせるようなスポーツカーとしての「才能」が欲しいかなという気がします。ガルウイング付けて、可変リアスポイラーとかタルガトップとか「非日常」を楽しむアイテムでもあれば、所有そのものに価値も生まれてくるとは思うのですが・・・。

  

2013年11月7日木曜日

インフィニティQ50Sに対抗する「新世代GT車」は?

  いよいよ日本でも発表が間近と言われている、新型スカイラインこと「インフィニティQ50」は、日産の開発陣が「最後の力」を結集した究極のGTセダンになっているようです。早くも海外動画ではその圧倒的な走行性能が話題になっています。ハイブリッド車でも全く妥協しない360psオーバー(レクサスLS460に匹敵)の出力で1700kgの車体をしばき倒します。ノーマルグレードのDセグセダンでこんなことやってるクルマは世界中見渡してもないです。200psでズルズルと車体を引きずって走るレクサスIS300とは根本的に違うコンセプトのクルマです。

  「価値ある高級車」を作りたいという日産の思想は素晴らしいです。噂される価格も450万円前後だそうで、現行では最高のDセグ"GT"セダンと言える「レクサスIS350」よりも70万円ほど安くなるという抜群のコストパフォーマンスです。ちなみにメルセデスC350が705万円でBMW335iツーリングが720万円ですが、この2台を軽く凌駕する性能を新型スカイラインは標準スペックで発揮します。

  メルセデスやBMWでもお手上げなのに、マツダやスバルじゃもはやどうすることもできないですよね。いよいよDセグ"GT"も新型スカイライン以降は廃れていってしまうのではないかと心配してしまいます。ホンダやフォードでもよっぽど無理しないと500万円程度で対抗車種は用意できないと思います。BMWも4シリーズなど悠長に発売している場合じゃないはずです。これらが日産に追いつくためには、新型パワーユニットに加えて、重量増でもハンドリングを確保する新機構の開発と、スカイラインに匹敵する堅牢なシャシーを用意しなければいけません。

  今後はBMW・マツダ・スバルといった中堅メーカーはCセグで新たに"GT"車の理想を追っかけていくことになりそうです。この3社は揃って日産のライバル筋にあたるトヨタの友好メーカーです。今後はレクサスとともに「スカイライン包囲網」というべき個性的な”GT”ラインナップを増やしてくれると思うのですが・・・。

  レクサスとBMWはどちらも400psオーバーのスーパースポーツ級“DセグGT"をまもなく出します。しかもご丁寧なことにラインナップが被らないようにレクサスは「V8」のRC-FでBMWは新開発の「直6ターボ」のM3・M4と作り分けてあります。特にBMWの新型ターボは先代のV8搭載のM3よりもさらに出力がアップしていて、日産GT-Rのツインターボに似た機構になっているのだとか・・・。

  マツダとスバルも今後スペシャリティ"GT"を幾つか用意するようですが、こちらもラインナップが被らないようにしているようで、マツダはディーゼルとメカチューンで高出力化されたNAガソリンの2本立てで、アクセラをベースにしたスポーツモデルが登場します。スバルもやはりインプレッサをベースにしているのですが、こちらは新開発の1.6Lターボを使ったホットハッチとワゴンで「実用性の高い」欧州で選ばれるような王道"GT"を出すようです。さらにトヨタとコラボしている86/BRZの年次改良で「4座」ライトウエイトスポーツというジャンルの拡大も狙っています。

  すでに発売が発表されているまたは存在が確認されている「トヨタ陣営」の即戦力"GT"を挙げると「マツダアクセラディーゼル」「スバルレヴォーグ」「レクサスGS-F」「レクサスRC-F」「BMW・M3/M4」・・・。さらに価格と性能で新型スカイラインにかなり接近しているのが「BMW235iクーペ」です。トヨタプリウスの軽量化技術を使っていて、320psながらスカイラインよりも300kgも軽く、0-100kmを4.8秒で駆ける俊足マシンです。価格も500万円台で出てくれれば、スカイラインのスポーツモデル「インフィニティQ50S」とほぼ同等になるでしょう。もちろん車体は小さいですが・・・日本の峠には好都合なはずです。期待して待ちたいと思います。


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