2013年9月26日木曜日

新型メルセデスSクラス 「インテリジェント・ドライブって本気なの?」

   いよいよ本国では販売が始まった、メルセデスの最高級セダンSクラスが間もなく日本にも上陸するようです。このクルマはただの超高級セダンではなくて、いままでのクルマの常識を変えてしまう「スゴい装置」が載っていると話題になっているようです。なんとついに自動でハンドルを切って曲がってくれる自動運転機能(インテリジェント・ドライブ)が付いたクルマが発売されます。

  自動でアクセルとブレーキはもうすでに実用化されています。クルコンとセンサーを使えば簡単にできるようです。それでもさすがに、ハンドルを自動で切るというのはハードルが一気に上がるのかなと思ってましたが、元祖自動ブレーキの「アイサイト」から1年足らずで出来てしまったようです。もしこの技術が完全に確立して、普通の人が運転するよりも遥かにトラブル発生率が低いのであれば、クルマの価値を大きく変えてしまうでしょう。

  単純にSクラスに運転手がオマケで付いてくるようなものですから、10万キロ走るとして平均車速30km/hで割ると3333時間分の運転手の人件費が付加価値として付いてきます。ざっと333万円分です(案外少なかったな・・・)。

  ナビに一旦目的地を設定したら、後はシートを倒して到着するまで寝ていても基本的には困らないというのがこの機能の意義なのだと思います。設定する場所を間違えて、起きたらとんでも無い場所に着いているリスクなんてのは、とりあえず無視してもいいですね。広い車内なので、東京から福岡まで割と快適に寝ながら夜間移動なんていう事もできます。こうなると北海道と沖縄以外のテーマパークに全国から気軽に遊びに行けます。TDLに全国のクルマが結集してしまうかもしれませんが・・・。また東京から青森のフェリー乗り場まで夜間に移動しておけば、北海道の雄大な自然の中を思う存分走らせることもできます。

  寝るだけではなくて、インパネにはやたらとでっかい14インチテレビくらいのナビモニターが付いているので、字幕の映画も無理なく見れてしまうようです。おそらくネットもスカパーもその気になれば簡単に付けられるでしょう。さらにちょっとバカついでに想像してしまいますが、駅まで一人でクルマに乗ってきて、クルマはそのまま無人で家まで帰って車庫に収まってくれるのでしょうか? 帰りはスマホでナビを呼び出して設定すれば、無人のまま駅のロータリーにタクシーを掻き分けて、迎えにきてくれることもそんなに難しいことではなさそうです。

  これだけズラッと書きましたが、この程度の機能を持ったクルマはオーストラリアの鉱山などでとっくの昔に実用化されていて、鉄鉱石を運ぶ超大型ダンプが大量に無人のまま運用されているのだとか。

  肝心の新型Sクラスですが、ジャガーXJの後を追うようにアルミボディで100kgの減量になるようです。先代までは2トンオーバーの車体をV6エンジンで頑張って引きずっていたS350がいくらか軽快になるだけでなく、ディーゼルHVなる新開発パワーユニットを世界で初めて投入するようです。100kgのシェイプアップを帳消しにしそうなディーゼルとバッテリーの重量感ある組み合わせですね・・・。

 

  

2013年9月24日火曜日

ジャガーXJ 「欲しい・乗りたいと思わせてくれるスーパーセダンは貴重だ!」

  本体価格が1000万円以上するクルマを買う人々の生活水準は、当たり前ですが相当に高いです。新車を10年乗るとして、車両価格の減損分だけで月にほぼ10万円掛かります。屋根付き車庫代やガソリン代、諸費用がさらに掛かります。GT-Rは消耗品だけで年間100万円近くかかるとか・・・。車体だけで月10万はやっぱり破格ですな。

  ただ見方を変えれば、毎月10万円以上の書籍代を計上する人なんて案外ザラにいたりします。業界新聞を数紙購読していれば、気がつけば軽く超えている金額です。他にも実家に部屋が空いているのに、わざわざ家賃を10万円以上払って一人暮らしをしている人も、理屈で言えば捻出可能な金額です。さらに趣味に月10万以上を注ぎ込む人だって珍しくないでしょう。

  ということで、ベルリネッタやアヴェンタドールとなると話は別ですが、ポルシェ911やジャガーFタイプやGT-Rならば平均的な日本人が楽しんでもよいくらいの価格じゃないかという気がします。まあ1000万円程度の頭金をどうやって貯めるかはその人次第ではありますが・・・。親が貸してくれるってケースも結構あるのだとか。まあ20代そこそこのアクティブさで、スーパースポーツカーのアクセルをヴァンヴァン踏んでセレブに成りきるのもいいかもしれません。

  別の見方をすれば20代そこそこでスーパースポーツに乗ることは「若さ」の浪費とも言えます。20代という年齢は、どんなクルマに乗ってもいい年頃な訳で、軽自動車でもスイフトでもマーチでも好きなクルマに乗っても、特に誰にバカにされることもないです。周囲の視線を気にしてクルマ乗るなんてナンセンスという意見もあるとは思いますが、結局はそういう部分(周囲から見た社会性)はクルマにとってかなり本質的なものなのではないかと思います。

  あくまで個人的な意見ですが、外見上も変化が現れる30代後半にもなれば、人はみなそれなりに分相応のクルマに乗り換えなければいけないと思います。高齢者が「終末」のクルマとして乗るならいざ知らず、40~50歳代でゴ◯フやミ◯に乗っていい気になっている大人は相当にみっともないと感じます。そういう大人にはなりたくないので、お仕事頑張ろう!そして40歳になったらジャガーのセダンにでも乗りたいなと思ったりします。

  そんな「偏屈」な自分に強いモチベーションを与えてくれる魅力的なクルマを作っているジャガーはとても素晴らしいブランドです。最高のセダンだけでなく、最高のスポーツカーも作っていて、この2つがここまで高いレベルで揃っているブランドは他にないような気がします。「アストンマーティン」はスポーツカーだけだし(ラピードはちょっと・・・)、「マセラティ」はセダンだけのブランドです。

  セダンのXJの乗り味はしばしば「極上」かつ「最高の世界観」と評されています。ライバル車をすべて所有した経験がないと安易にこんな言葉は吐けない気もしますが・・・。それでも最高のクルマには、常に理想(イディア)がありそこに到達するために、いかなる高価な設計を使うことも辞さない不退転の決意みたいなものがみなぎっているはずです。ジャガーXJの設計を細かく見ていくと、レクサスLSに匹敵する最高の静粛性と、Sクラスを凌駕する極上の内装と、BMW7シリーズのような独特の乗り味のすべてをどん欲に追っかけている様子がわかります。

  旧フォードグループの「PAG」(プレミアム・オート・グループ)に名前を連ねていたブランド群は、資本がインドや中東、中国へと変わりましたが、いずれも最近になって復活の動きが活発で、各分野で話題を独占するような傑作車が相次いでいます。今年の3月に発表された「ワールド・デザイン・COTY」のベスト3はいずれも旧フォードのブランドである、アストンマーティン「ヴァンキッシュ」、ジャガー「Fタイプ」、マツダ「アテンザ」の3台でした。その前年の大賞はレンジローバー「イヴォーグ」、さらに前々年はアストンマーティン「ラピード」といずれも旧フォードブランドで占められています。

  これらはデザインだけでなく、クルマとしての性能ももちろん高く評価されていて、各方面の最先端のカーアイコンとして君臨しています。かつてフォードがまとめ上げた「非ドイツ系」集団は、それぞれのブランドには今なおフォードの優秀な遺伝子が組み込まれ、いずれもクルマ作りにごまかしがなく、誠実に良いクルマを作ろうという姿勢が目立っているように思います。ボルボもV40という味のあるモデルで日本市場に挑戦しています。

  その中でも今最も輝いているのが、ジャガーだと思います。セダンにおいてもスポーツカーにおいても基本設計で、できるだけ良い素材・部品を使ってクルマを作るという姿勢が貫かれています。このXJもフルサイズセダンとはいえ「走り」に関して妥協したくないようで、ライバルの超高級セダンの中でドライビング性能の向上を一番真剣に考えた設計が取られています。最大の特徴は軽量化のためにコスト度外視のアルミボディを採用していることです。つまりホンダが究極のスポーツカーとしてNSXを作るくらいのテンションでフルサイズセダンを作ってしまっているわけです。これは最高級クラスのセダンにおいては他のメーカーの追従を許さないジャガーXJの最大の個性と言えます。Sクラスと同じサイズながら、V8搭載モデルで単純に比較すると200kg以上ジャガーXJの方が軽いです。ジャガーはアルミボディを他の車種でも多用しており、「アルミのジャガー」と言っていいほど特徴的です。

  Sクラス・7シリーズ・パナメーラ・クワトロポルテといったライバル関係の中で、他のモデルが「とりあえずV6とV8の二本立て」という無個性にハマっている中で、軽量なアルミボディを生かして、直4ターボモデルまで作ってしまったのには多少は困惑しました。しかし車重が1780kgとEクラスや5シリーズ並みに抑えられているので、4気筒が増えているEや5の現状を考えると妥当な設定かもしれません。

  4気筒は正直言ってほしいとは思いませんが、ジャガーXJのような考え抜かれたクルマこそが、1000万円以上かけてでも買う価値のあるクルマなのだと、つくづく思ってしまいます。ポルシェ・パナメーラやマセラティ・クアトロポルテの方がスポーティで個性がある超高級セダンというイメージがありますが、フタを開けてみるとポルシェだからと言ってもミッドシップでもなければボクサーエンジンでもない、ただのデカいクルマだったりします。最高級モデルでくらべても「パナメーラ・ターボ」より「XJ・V8スパチャー」の方が軽量で、ターボよりレスポンスのいいスーパーチャージャーでチューンナップされて、出力も上回っています。おそらくXJの方が基本的な運動性能は上ではないでしょうか。まったく調べれば調べるほど好きになる新生ジャガーです(ポルシェも好きですが・・・)。

  
ジャガーXJ 動画 クルマカタログ
  

2013年9月20日金曜日

ポルシェ991型911 「軽井沢に乗って行くベストカー?」

  暇さえあれば、ネットで別荘の物件を見てしまいます。伊豆と軽井沢は高級物件がたくさんあって5000万とか8000万とか東京でも結構いい家が買えてしまうほどの価格が付いています。これだったら1500万円の家を買ってリフォームした方が安上がりではないかという気もしますが・・・。

  別荘を買ったらそこに似合うクルマも用意しなければいけないなと思わず考えてしまいます。場所にもよりますが、北軽井沢といった「いかにも」な場所に構えるとなると、ラグジュアリーでプライベート感がある高級スポーツカー、つまりGTカーがいいなと思います。まず思いつくのがポルシェ911でしょうか。ポルシェと聞くとバブル時代の生き残りのイメージがあり、当初はまったく好きではなかったのですが、いろいろなメーカーのクルマの構造を調べていくうちに、気がついたらいつの間にか憧れのクルマになっていました。

  それでも周囲の人に「ポルシェほしいんだよね」と気軽に言える身分でもないので、内に秘めたる想いを抱えながら日々暮らしております。もちろん別荘についても同様ですが・・・。現行の991型が7代目の911だそうで、エンジンの冷却方式が水冷に変わった2代前(996型)からボディサイズが4400mm程度に拡大して、それ以降のモデルがイメージにピッタリなので、いわゆる空冷式の旧型にはまったく興味はないです。さらにこんなこと言っては怒られてしまいそうですが、先代(997型)までのモデルは内装デザインに年代を感じてしまって満足できないので、厳密に言うと現行(991型)のみが憧れです。

  内装だけを見るとポルシェはジャーマンプレミアムに見劣りしてしまう印象がありましたが、現行モデルは911だけでなくボクスターもケイマンも良くなったので、武骨な内装にトゲトゲした思いをしながらドライブするんじゃないかという、「皮算用」的な妄想に耽る必要もないですね。有名車種の先代モデルの内装だけを単純に比べると、好みの問題もあるでしょうが、ドイツ勢ではアウディA6のデザインが突出して良いです。メルセデスEとBMW5・6・7も質感はとても良さそうですが、アウディと比べて対象年齢が高めで客観的に見ても50歳代以上が対象なのかなという気がします。

  最近になってバタバタと発売されたAクラスやCLAは若者ユーザーを意識したそうですが、「若者には価値なんてわからないから、これくらいでいいだろう」といった感じがぷんぷんします。特に悪い内装ではないですが、200万円以上の日本車ならこれと同等以上のものもあったりするので、どこがプレミアムだ?と突っ込みたいです。メルセデスは背伸びしたい若者の気持ちが分かっていない気がします。今の若者にSクラス(CLクラス)とEクラス(CLSクラス)の内装を見せて選ばせれば、多くの人はSクラスは憧れるけど、Eクラスは欲しくないと思うはずです。Eクラスはやはり高齢者の為のクルマなんだということが分かります。Aクラスの内装はというと、この2台ともまた違っていて、トヨタかホンダのコンパクトカーのノリにしか見えないです。

  ちょっと話がズレましたが、ポルシェの内装は大きく改良されて、メルセデスSクラスのような艶やかさが見られるようになりました。多くの評論家が991型を「最新にして最良の911」と絶賛してましたが、おそらく内装の雰囲気に呑まれたと思います。スポーツカーとしてだけでなくラグジュアリーカーとしての魅力が高まったわけですが、やはり最大のネックは価格でしょうか・・・。新車でオプション装備を納得いくまで付けたらベースグレードでも1500万円近くなってしまいます。しかも手頃な新古車なんてのもなくて、中古でも割高感すら感じます。Sクラスの350なら未使用の中古車が700万円で買えたりするのですが(けどS350はタダでくれても乗りたくない・・・)。

  E250やS350は散々に否定して、ポルシェ911やGT-Rを絶賛するなんていかにも「クルマわかってないヤツ」と思われそうですね(実際そういうヤツです)。割と乗り心地には文句を付けてしまうほうなので、911やGT-Rを実際に所有したらあまりの突き上げに「こんなはずはなかった」とかなりの確率で困惑しそうな気がします。これだけのスーパースポーツとなると現実と妄想とのギャップがちょっとした試乗くらいでは簡単に埋まらないのは百も承知なのですが・・・。そんなマヌケ度100%のユーザーでも相手にしなければいけないので、911もGT-Rも一生懸命に内装を磨き上げ、高性能な電制ダンパーでマヌケのお尻が痛くならないように作られているようです。そういう至れり尽くせりのクルマなら1000万円払ってもいいかなって思います。



  

  

  
  

2013年9月14日土曜日

マセラティ・グランツーリズモ 「中古車前提なら一番お買い得?」

  日本における高級車の意味合いがやや変化してきたようだ。高級車販売の主体であるOECD諸国の高齢化に歯止めがかからず、その先頭を走る日本では小型モデルの高級化グレード設定の要望が増えているとか。トヨタが総力を挙げてプロモーションした「86/BRZ」は300万円で買える本格設計のスポーツカーとして見事に成功を収めた。まだまだ高いという意見も外野では聞かれるが、実際に興味を持ってディーラーに訪れる客の多くは値上げしてもいいから高級グレードを切望しているようだ。トヨタもスバルもそんなニーズを見逃すはずはなく、評判が悪かった86/BRZの内装を見直した限定モデルを最近になって発売している。

  86/BRZのインパクトは日本よりも欧州/北米/豪州のスペシャリティ市場へ大きな影響を与えているようだ。メルセデスやアウディは300万円という価格を狙ったような「プレミアム・コンパクト」を相次いで投入した。欧州プレミアムコンパクトと86/BRZ、ホンダCR-Z、マツダロードスターがほぼ同じ価格で横一線で、目指すは引退世代のプライベートカー市場というわけだ。近所(東京西部)で見かけるCR-Zやロードスターはほとんどが老人(か年配の女性)が乗っている気がする。

  誰がどんなスポーツカーに乗るのももちろん自由だが、この手のお手軽なスポーツカーが流行の兆しをみせていることから、各メーカーともに手持ちの廉価設計を駆使してよりお手軽な「なんちゃってスポーツカー」の開発競争が進むかもしれない。廉価なスポーツカーは「痛車」のネタ車にされてしまうリスクも大きい。86/BRZ、CR-Z、RX-8、シビックR、インテR、WRX、エボ、アテンザスポーツといった面々はすでに痛車によって甚大な「風評被害」を受けている。もはやアニメ好きの為のクルマと見做されている。マツダのアテンザスポーツとRX-8の廃止は英断と言えるかも・・・。



  よっていざスポーツカーを買うとなると、中古車が割と豊富なポルシェ911の水冷などから探したい。996だと200万円〜程度で最近では痛ネタになりつつある。997なら500万円〜で何とも悩ましいところだ。ただポルシェという知名度のあるブランドのせいで、「ポルシェ 痛車」と検索するとたくさん出てくる・・・。よって「痛車ベース」が絶対に嫌な人はマセラティ・グランツーリズモが800万円〜が一つの理想なのかなという気がする。同年式の997が650万円〜だが、このマセラティGTはまだ現行モデルなので妥当な金額だといえる。しかも2004年デビューの997の内装は高級車とは思えないほど貧相で、2007年デビューの「黄金世代」であるマセラティGTの内装はまさに「ラグジュアリー」そのものだ。

  新車で買うとなると、現行の991は内装の質感がかなり上がっていて。一般論ですが2007年頃のFMCのモデルは特に内装のレベルが高い。スカイラインもクラウンもEクラスもこの時期のものが史上最高だと思う。マセラティ全体でも恐らくこの2007年のグランツーリズモの質感を今後超えるモデルは出てこない気がする(グレードによって若干内装に差があるが・・・)。2007年と言うとGT-Rという有力な候補がいて直近の中古車は500万円〜という価格帯だ。もちろん内装では世界最高水準に達している日産なので抜かりはない。マセラティGT、GT-Rの2台が中古車を視野に入れるなら、お買い得な「高級スポーツカー」として価格に見合った満足感を提供してくれるクルマだと思う。


  せっかくトヨタが本腰を入れて健全なスポーツカー文化を作ろうとしているが、やはりメーカーが主導するというスタンスは、この国の歪んだクルマ文化を浮き彫りにしている。もちろんメーカーがクルマと作らなければ何も起こらないのだけど、結論としては300万円のスポーツカーでは「文化」は作れないということなのかもしれない。悔しいがフェラーリやランボルギーニの現行モデルに乗ることこそが、スポーツカー趣味においては正義なんだろうな・・・。