2013年6月30日日曜日

ルノー・メガーヌ・ハッチバックGTライン 「新型欧州Cセグよりも◎」

  20代の頃はCセグハッチバックのデートは普通だと思っていましたが、今はちょっと恥ずかしいというのが正直な気持ちだったりします。2000年頃はまだまだ2BOXカーが日本ではそこまで多くなくて、トヨタか日産かよく分からないような無個性なセダンが溢れる中をハッチバックで走るのはなかなか壮快でした。それから10年以上が経過して、やっぱりというかB/Cセグのハッチバックが今度は増えすぎてしまい、ハッチバックで「オシャレ」な気分を味わうのはだんだん難しくなってきていると感じます(あくまで個人的な意見ですが)。

  ハッチバックのデザインのバラエティの無さもまたセダンの二の舞になってしまいました。欧州型のオーソドックスなタイプよりも、ちょっと日本的なアレンジがされている「箱形」のキューブやbBが一時期大ヒットしたことが、このクラスのクルマの楽しさを一気に奪ってしまったようです。これって大したことでは無いようですが、ドイツのメディアなどでは欧州の伝統デザインをアレンジしていることに対して厳しい批判を目にすることがあります。キューブのデザインには「日本のカルトカー」というような紹介がされています。トヨタの2代目オーリスなどは、何の因果かミニバンのようなフロントデザインを与えられていたりと、いろいろ不可解なデザインが今も続いています。

  それでは本場の欧州車のデザインはそんなに良いのか?というと結局はどれも、「大衆車なんだからそこまで頑張らなくてもいいじゃん」といった雰囲気から脱出できていなくて、まずデザインから夢中になれるモデルは皆無ですね。結局はマツダの初代アクセラが今でも一番理想かなという気がします。一番がっかりするデザインは、失礼ですがアウディA3ですね、これは「アウディ」という期待が高い部分もあっての評価ですが・・・。

  初代アクセラに迫る好デザインは無いわけではないですが、308やDS4といったどこかむず痒いような「オシャレ」デザインはいざ自分のクルマとなるとあれこれ考えてしまいますね。要は「コペン」とか「カプチーノ」に乗る感覚に近いのかなってことです。「俺のクルマかわいいでしょ!」っていうキャラクターでOKなら何の問題もないでしょう。ただ自分にとっては愛車というのは、自分の人生を投影できる「裏表のない」存在であってほしいと思うので、「かわいいでしょ」の境地にはとても立てないですね。「オシャレ」なCセグを否定するつもりはありませんが、それで良かったらもうクルマでもバイクでも原付でも「オシャレ」なら何でもいいじゃんという気がします。

  クルマにこだわっていて、それでなおCセグに乗りたいという人の気持ちにしっかりと応えられるクルマとなるとなかなか難しいです。おそらく欧州車ではこの「メガーヌ」だけじゃないかと思います。このクルマのデザインは他の欧州Cセグが中性的なのに対して、「筋肉ムキムキ」の男性的なデザインになっていて、個人的には非常に所有欲が芽生えます。しかもこのデザインで本体265万円ですから一声値引きが掛かれば、結構真剣に考えてしまいそうです。

  レクサスCTという好デザインのCセグカーがあります。本体価格が非常に高いのであまり評価されていませんが、これもCセグとしては非常に優れたデザインだと思います。正直言って、新型の欧州Cセグ車はなんだかんだでこのレクサスCTにスタイルで勝てないので、仕方なく価格で勝負してきています。しかし「メガーヌ」ならば純粋にデザインだけでレクサスCTと勝負できてしまいます。

  つまらない言葉でたらたらと語りましたが、簡単に言うとCセグにはいろいろと「種類」があって、特に日本に続々とやってくるドイツ車はどれも「ゲイ」っぽいです。シトロエン(DS4)もプジョー(308)も同類です。どうもこうもSUV的な「流行り廃り」の臭いがプンプンします。つまり業界に言わせると日本市場なんて「色モノ」で、普遍的な価値観でモノが売れる世界ではないと考えているのでしょう。

  実際に欧州や北米で売れるフォーカスやシビック、アクセラ、メガーヌが売れません。こういう伝統のCセグではなく、本来は別クラスの専門だったメルセデスやBMWのCセグを簡単に受け入れてしまう浅はかな国民性を見透かされています。そんなこと考えもせずにCセグの代表車のようにAクラスや1シリーズを取り上げてきた「低能」極まるカーメディアの責任も非常に大きいと思います。一人くらい「ゲイっぽい」と言い放つ「国士」が居てもよさそうですが(手前ミソですみません・・・)。

  
↓かラーリングも冴えてますが、ゾクゾクとする「存在感」を備えるCセグってもはや名車。
  

2013年6月27日木曜日

BMW135i クーペ 「ポルシェに最接近したBMW車」

  BMWとポルシェを比べるなんて、あまり実りの多いことではないが、どちらにも共通するであろうことは、スポーツカーメーカーとしての「野蛮さ」を十分に持ち合わせていることだ。多くの自動車好きはこの「野蛮さ」を所有することに絶えず憧れている。しかしそれと同時に、その「野蛮さ」がほぼ手に負えないレベルであることも良く分かっている。よくスポーツカーに乗る人は自身を「マゾ」と評することが多いが、これは実に的を得た表現だと思う。

  BMW135iクーペは、カタログスペックからすでに「野蛮さ」が滲みでている。BMWにしては決してカッコいいとは言えないスタイリングであったり、後席の居住性を無視したほぼ2シーターの設計であったりと、すでに「乗用車」とは呼べないレベルのクルマだ。これに170psの直4ターボが乗っているだけならなんの魅力もないクルマだが・・・。結局のところBMWの直6ターボを存分に楽しみたいという「根源的な欲求」に対して、他の全てをスポイルしてでも応えようとした「男気溢れる」クルマだ。

  本来はプレミアムブランドとして、居住性にも十分に配慮されたクルマ作りをするBMWが「本能のままに」作ってしまった問題作と言えるのかもしれない。とにかくBMWで一番に「マゾヒズム」に徹したクルマだ。同時にBMWの魅力の源泉といえる直6ターボ搭載モデルを、このブランドにしては比較的低価格で所有することができるという「究極のエントリーモデル」だ。しかし残念なことに、せっかく「エントリー」してもBMWの上位モデルではスポーツ性をこれ以上に体感できるクルマが用意されているわけではない。この135iクーペでポルシェに近い世界観に近づいたものの、あとはひたすらにフォーマルな高級車基調の上級車種がラインナップされているだけで二度とポルシェ的世界観には近づくことはない・・・。

  ポルシェもまた「BMW的」な高級車展開で完全に味を占めてしまっていて、カイエンやパナメーラは高級車の趣でしかなく「野蛮さ」とは無縁に感じられる。現行の911(991型)もかつて持っていた「野蛮さ」を失いつつあるようだ。それでもさすがはポルシェで、911ターボSの試乗動画などを見ていると、経験豊かなライターが「おっかなびっくり」でおそるおそる運転している様子が分かる。海外試乗ともなればアウトバーンを250km/hで走るシーンが出て来たりするが、いつもは偉そうなコメントを連発するライターの声が心無しか震えて聞こえたりする。

  BMW1シリーズクーペは現行モデルを持って廃止され、次期モデルは「2シリーズ」としてラインナップされる予定だが、不思議なことに2シリーズと聞くと「野蛮さ」が影を潜めてしまうような気がする(スペックがどうなるかなど全く説明されていないが・・・)。1シリーズクーペに一定の「ラグジュアリーさ」を追加しようという意図で2シリーズをデビューすれば、一時的にはスポーツ車メーカーとしてのBMWにとって大きな打撃と言えるかもしれない(装備が豪華な135iクーペなんて魅力半減では・・・)。

  BMWの本来のライバルのメルセデスはいよいよA45AMGを投入して、高級車ブランドというだけでなく、スポーツカーブランドとしての地位を築こうとしている。このクルマは過剰スペックなハッチバックといった印象になっていて、「野蛮さ」を前面に出してくるブランディング方法を意図しているのかもしれない。やや「野蛮さ」が薄れつつあるポルシェやBMWを尻目にどこまで成長を遂げるのだろうか・・・。「野蛮さ」が全くないくらいのレクサスやアウディに比べて、非常に野心的なメルセデスの戦略はなかなか奥が深い。


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↓だいぶジェントルになってきたが、それでもRRという時点で相当過激だ・・・

  

  

  

2013年6月25日火曜日

BMW M3 「さらばM3・・・?」

  誰の目にも明らかだがBMWとレクサスのグレード名が様々な点で似て来ている。「奇妙な」までのこの両社の連動性のあるラインナップの変化は、どいういう意図があるのか分からないが、攻勢を強めるメルセデスとアウディの安易なクラス設定を揶揄する意味合いがあるのかな?などと勘ぐってしまう。具体的にトヨタとBMWが新たに何をするかというと、Dセグ(ISと3シリーズ)におけるセダンとクーペの車名を分けて発売するようだ。さらにスペシャルモデルだった「IS-F」と「M3」を廃止して、次期モデルはクーペのみの「RC-F」と「M4」となって登場することが濃厚だ。

  「AMG」「S」「M」「F」は暗黙のうちに「V8」エンジン搭載モデルを意味していたが、最近ではその「称号」が「商号」化してきたようで、直4ターボの「AMG」「S」が登場してきている。あまり目くじらを立てるのもどうかと思うが、どうやら「記号化」によってユーザーが得をするケースはないようだ・・・。さらに「Mスポ」「Fスポ」なるグレードも今やBMW・レクサスに全車に設定されている。「Mスポ」というのはてっきり電制サス(アクティブサス)装備だとばっかり思っていたが、どうやらスポーツサスが付いているだけのようだ。

  10年前の「M5」と言えば、Mシューマッハが認めた最高のGTカーとして、BMW最強のイメージリーダー的クルマだった。2001年の雑誌sightでクルマ特集(英国雑誌の企画の邦訳)が組まれていたが、その中でもM5の評価は絶大だった。R34GT-RやS2000といった日本の名車も多く参戦していたが、M5とポルシェ911の優位は全く動かずだったような記憶がある。あれから12年が経ち、同じような企画をやったとしたら911はともかく、M5が同じような評価を受けられるかはちょっと疑問だ。BMWの開発はブランドの「頂上」ではなく、「裾野」のほうでむしろ盛んになっていて、販売のボリュームゾーンを考えるとその平均価格はどんどん下がっている印象だ。決して「庶民的」なブランドだとは思わないが、もはや世界中の金持ちがもて囃すブランドではないし、1500万円のM5がブランドを象徴する時代ではないのは確かなようだ・・・。

  そんな「究極のGTカー」イメージを確立した名車M5の弟分としてM3も約1000万円で日本のエリートサラリーマンならなんとか買える価格設定でMシリーズの稼ぎ頭だった。しかしBMWがただV8を載せるだけでほったらかして、シリーズの進化を放置したツケが回ってきたようだ。911やGT-Rのよう4座のスーパースポーツに走行性能で大きな差をつけられ、スポーツセダンとしての地位すらV8搭載で価格がM5よりも300万円安いアウディS6に主役の座を奪われつつある。

  そこでBMWがアウディ対策に導入するのが、新型M4のようだ。噂によると直6ツインターボになるのではと言われている。これは同じベース車両を使うアルピナB3と同じスペックになるが、M4は2ドアクーペのみで、B3はセダン(リムジン)とワゴンの設定でボディ形状で差別化する作戦らしい。ただ4シリーズはクーペ専用モデルなのだから、ベースで直6ターボを装備し、M4でV8モデルになったほうが、良かったように個人的には思う(BMWは「愚直」なブランドイメージがあったが、どうやら完全に過去のものになってしまったようだ・・・)。


↓M3の伝統はM4にしっかりと引き継がれるのか?
  

  

2013年6月21日金曜日

ホンダNSX 「気持ちのよいNAとでこぼこの都会を駆け抜けるトラクション炸裂のはずが・・・」

  日曜日に都内を走っていると、いろいろな「趣味性」の高いクルマが見られて楽しい。どこぞの博物館にお金を払ってもなかなか見られないような「スゴいクルマ」が見られたりするので、ちょくちょくと田舎からわざわざ見に行ってしまう。先日も黒のメルセデスCLSの「痛車」(ボディにアニメがペイントされたクルマ)が走っていたりして、思わず笑ってしまった・・・。R35GT-RやNSXの「痛車」などもすでに複数存在していて、実際に見かけたら、ちょっとショックを受けそうだ。

  幸いなことに都内でNSXの痛車は見かけたことはない。どうやら最近ではすぐに現状回復できるラッピングフィルムがあるようで、特別なイベントなどがないときは、ノーマルの状態で走るという人もいるらしい。お台場などの信号の少ない広い道路でNSXをよく見かける。乗っている人を見ると、やはりというか「痛車」に乗っててもおかしくないような「イケメン」が多い気がする(かなり若い人が多い)。別に揶揄するつもりはない。NSXを所有できる社会性とアニメ趣味のオタクというスペックなら、ほぼ確実に「イケメン」じゃないと成立しないのでは?という意味だ。

  たいていは見た目がとても若そうで、普通に友達でも同僚だとしても害のなさそうなオーラを出している。外見からのイメージ通りで、運転もかなりジェントルでNSXをまるでカローラのように運転していたりする。ちょっと偏見かもしれないが、せっかくのNSXなのにトラクションの良さを味わおうとする様子でもなく、まるでトヨタのHV車に乗っているような立ち上がりだ(ちょっと言い過ぎか?)。立ち上がりもクルマがスムーズに動く性か、VWポロなどの出だしに見られるような「せわしない様子」など少しもみせない。こんな「草食系」のNSXのドライバーが増えているように思う。

  「痛車」が街中でも見られるようになった背景には、ある種の意味を発信しているような気がする。そもそも特大のアニメの絵を誇るようにプリントされたクルマに乗ることは、クルマが持つ重要な役割を根本的に変えてしまっている。そこには現代のクルマが抱える深刻な問題があるように思う。つまり今のクルマは総じて「ダサい」ということだ。ノーマルのクルマのデザインがダサいから、「痛車」に乗っていてもそこまで違和感を感じないし、引け目に思うことなどまったくなく、好きならやればいいのではないか? 「痛車」は周囲から好奇な目で見られるかもしれないが、街中に溢れる、ノーマルデザインのプ◯ウスに乗っている人に比べれば「マシ」と思えるのかもしれない。

  そんな「痛車」乗り達が実際に憧れを持つクルマは2000年頃に発売されていたスポーツカーが多いようだ。割合としてはスバルや三菱のものが多いだろうが、その中でも特別なステータスを誇るのがFD(RX-7)とNSXだと言われている。やはり「痛車」乗りの中には一定割合でセンスがいい人も多いのだ。この2台は走行性能もさることながら、スタイルの良さから惹かれるという人もかなり多いと思う。どちらも発売から20年以上が経過しているが、まったく風化しないデザインには、まさに「不変」「永劫」のものなのかもしれない。

  去年出たばかりのトヨタ86はなぜFDやNSXのデザインを超えられないのか? 極限的性能を持つクルマのデザインはバイアスがかかってカッコ良く見えてしまうのか(たしかにGT-Rもカッコいいな・・・)? デザインそのものを科学的に「カッコいい」ものへ変えることはできないのだろうか・・・。





  
 
  
  

2013年6月19日水曜日

R35GT-R 「日産が持て余すほどの国産スーパースポーツ。だけど性能以上に『特別なクルマ』な気がしてならない」

  「いつかはクラウン」じゃないが、イマイチ仕事に精が出ない若者達を奮い立たせる意味での「クルマの役割」は現在でも非常に効果があるように思う。「憧れのクルマ」と過ごす時間はかけがえのないものだ。2代目アテンザを生産終了直前で購入して、約1年感乗ってきたがとても幸せな時間を過ごせたと思う(クルマの代金分はもう十分に回収できたと思えるくらいだ)。それでもまだまだ、「あんなクルマに乗れたら・・・」と思わせるほどの「魅力あるクルマ」は幾つもある。いつかは乗ってみたいとまた新たな野心がくすぶるのを感じる。

  いま乗っている「アテンザ」を超えるステータスを感じさせてくれる「憧れのクルマ」も「国産の現行車種」に限定してしまうと、その数はだいぶ減ってしまう。というより厳密に言うと「R35GT-R」くらいしかないかもしれない。もう少しすれば、レジェンドとNSXが復活し、ソアラとスープラもやがて復活するのだろうけど。輸入車ならば「マセラティグランツーリズモ」「メルセデスCL」「ポルシェ911(991型)カレラ4S」「BMW6シリーズ」「シボレーコルベットZR1」・・・とりあえず10台は軽く出てきそうだ。

  よく「クルマにお金を注ぎ込む人は馬鹿」と言われるが、自分が幸せになれることにお金を使うことはそんなに悪いことだとは思わない。ローンを組まずに買える範囲なら好きなクルマに乗ればいいと思うし、自分の分身として人生を投影できるクルマに巡り会ったと確信したなら、初回の車検までに乗り換えるなんて思わないだろうから、5年も10年も夢中にさせてくれるクルマならば、むしろお得だと言える。

  たとえその「憧れ」のクルマが「日産R35GT-R」だったとしても、それで仕事が人一倍頑張れるのであれば、遠慮せずに新車で買ってしまえばいいと思う。これだけのクルマを所有してしまったら、もはや後戻りはできないだろう。それなりの経済力が要求されるから仕事や自分の生活への責任感が重圧となって襲ってくるだろうが、このクルマに乗れるならばそれほど苦痛じゃないと思えるならば問題ないはずだ。GT-Rを所有することで自分自身への意識は飛躍的に高まるだろうし、いま以上に「洗練された人生」が約束されたと言ってもいいかも(いいすぎか?)。

  簡単に言うと「R35GT-R」は乗り手を幸せにする力があるクルマだと思う。下世話な話だが、プロ野球選手の愛車の一覧などを見ていると、この選手がどういう意識を持った選手なのかが、なんとなくわかってしまう。「R35GT-R」を愛車にしている選手は、確認できただけで2人(巨人の坂本と千葉ロッテの唐川)だけでかなり少数派のようだ。だがどちらも球団を背負う若手のホープとして活躍している。

  あまり酷いことを言いたくはないが、ベンツに乗っているような選手にスターはまずいない。ポルシェに乗る若手は伸び悩む(カイエンは選手生命を縮めるのか?)。マセラティやランボルギーニに乗るベテラン選手は晩節を汚すタイプが多い・・・気がする。あくまで国産車好きの私の「色眼鏡」での見え方なので、気を悪くしないでほしい。

  日産がこんなことを意図したかどうかはわからないが、R35GT-Rにはその性能とはまた違った「魅力」が備わっているように感じる。ちょっと高価だけれども、自分の感性に最高にマッチしたキーホルダーやネックレスを身につけていると、物事が上手くいくことがある(私はそれを何度も経験しているので、キーホルダーやボールペンにムダにカネをかける)。GT-Rはそんな効果が詰まった「究極のアイテム」なのではないかという気がするのだ・・・。おそらく900万円出して買ったら、次の年にその倍のお金が返ってくるのでは・・・。


小沢コージさんがマジで面白いです。クルマDVDには珍しいほどの、とても清々しい内容で、続編がぜひ見たいです。

  
  

2013年6月14日金曜日

ボルボS80 「フォードが作ったレジェンド?BMW?」

  新型車やFMC自体の少なさもあるが、近年エコカー志向の逆風もあり、絶望的なほどにヒット車に恵まれていない「フルサイズセダン」(Eセグ)は、その存在価値が相当に怪しくなってきている。先日MCで大々的に日本でも展開を始めた新型Eクラスはデザイン面で見るべきものがあり、この逆境の中でそれなりに売れそうな気配はあるが、従来からのファンにはさまざまな仕様の変更が不評で、売れ残っている先代モデルがにわかに景気付いているらしい。

  日本車でもレジェンドが撤退し、フーガもレクサスGSも先の見えない販売不振に陥っている(はっきり言って新型アテンザに完全に喰われた!ようだ)。このままでは、後席の居住性を改善した「新型レクサスIS」に残りの客も全部さらわれてしまいそうな予感がする(アテもISも嫌いというセダン好きも結構いそうだが・・・)。とにかくEセグの魅力をしっかりと発信できるクルマが見当たらないという悲惨な状況だ。

  バブル以降の社会構造の変化もこのクラスの販売に大きく影響しているという見方もある。MBもBMWもレクサスも同じことがいえるが、世界の富裕層にとってみれば1000万円以上をクルマにかけることは大した問題ではないようで、Sクラス・7シリーズ・LSは先進国では確実に売れるし、むしろ上級グレードのほうが人気がある。一方でその下のグレードはというと、中流階級が無理して買うケースがほとんどでベースグレードにボリュームゾーンがきてしまう。よってプレミアムブランドはどこもEセグの低価格化に必死だ。しかしその努力は結局は「ブランドイメージの悪化」につながる悪循環ともいえる。

  Eセグ以上のセダンの最大の欠点は、1人で乗るのに適さないことだ。観光地などで大きなセダンに1人で乗っているのはとても恥ずかしい気がするのは自分だけじゃないはずだ。そもそも1人で乗っているだけだと、豪華すぎるほどに広い車内空間は持て余すだろうし、燃費も悪かったりするので、なにもいい事がない・・・。また奥さんと子供を乗せて走るクルマは「Eセグセダン」がベストかというと、必ずしもそうではない。むしろ最近の傾向としては、Eセグセダンより割安で高級感もあり、居住性も高い「高級SUV」の方が人気がある。いまでは各メーカーが一番力を入れるジャンルとして確立している。車種もたくさんラインナップされ、レクサス、BMW、MB、ランドローバーからラグジュアリーなSUVが発売され、家族連れの「定番車」としてこちらの方がウケている。

  それでも個人的な意見としては、「Eセグセダン」はデートカーとして「最高レベルのステータス」を誇っている。ドライブ好きの熟年夫婦ならスポーツカーのほうがシックリくるかもしれないが、若い未婚のカップルなら断然Eセグセダンがスマートに見える。20代や30代で新車のEセグセダン乗ってしまう独身男子は、クルマ別ではスーパーカー以上に「モテる」印象がある。しかし新車で買うとなると600万円以上は軽くかかってしまう。しかも主力のドイツ勢の最廉価グレードには、BMW528やメルセデスE250など4気筒のものまであったりして、これを選んでしまうと「スマート」ではなくなってしまいます。よってなかなか面倒くさいです。

  いっそのことエンジンは6気筒で3~3.7Lくらいの1グレードにしてほしいなと思います(もしくはアシストHV)。そういうクルマ作りをしているメーカーにはなんだか好感が持てます。6気筒以上のエンジンで統一してくれているプレミアムブランドのクルマとしては、「ボルボS80」「キャデラックCTS」があります。ボルボS80は3L直6ターボのAWDで、デザインはホンダ「レジェンド」を思わせるような「高級感」と「スポーティ」なイメージです。

  このS80はフォード傘下時代の開発なので、エンジンや設計はジャガーのXFと共通点が多いです。AWDのS80に対して、FRのジャガーXFの方が低価格の設定になっています。S80は同じフォード傘下だったマツダのハンドリング技術がAWDのS80には使われていて、電動パワステながら定評のあるハンドリングが魅力です。ジャガーXFは直4ターボ化が発表されていて、さらなる低価格戦略でドイツ勢と競合するようですが、同時にブランド価値の低下がやや懸念されます。一方でボルボは、ドイツ勢の「逆」を選択していてより重厚感のある開発スタンスを取っています。BMWからフェードアウトしつつある「直6ターボ」を前面に打ち出したスポーティさで、ドイツ勢を性能面で上回るという方向性が感じられて、今後さらに期待できる予感があります。

  

   

2013年6月11日火曜日

フォルクスワーゲン・シロッコR 「直4車の限界価格はいくら?」

  どんなに興味がないブランドであっても、1台くらいは気になるクルマがあったりする。フォルクスワーゲンだと、それに該当するのは「シロッコ」で、ドライブに行った先で見かけるとついつい見とれてしまう。VWのクルマとは思えないほどの豊かな曲線で構成される側面デザインは、このブランドにはまったくそぐわないほど「芸術的」ですらある。そのスタイルは、同じVWグループ・アウディの看板モデル「TT」と比べてもまったく見劣りしない。最近ではむしろ「シロッコ」の方がカッコいいのではと思えるくらいだ。

  しかしカタログでその価格を見ると、その「割高」な設定に思わず卒倒しそうになる。大衆モデルと同じ1.4Lターボ搭載車なのに本体価格で350万円もするのだ。同スペックのゴルフのハイラインと比べて50万円も高いとは驚いた。日頃からゴルフは割高と主張しているのに、それをさらに上回る価格設定になっている(ゴルフGTIが買えてしまう)。それでも簡単には引き下がれないほどデザインは素晴らしい。やはりVWは商売上手だ・・・、デザインの価値とそれに見合う価格がよく分かっている。だからこそリーマンショックが起こって「トヨタショック」に見舞われても、このメーカーだけは利益を出し続けるのだろう。日本のどっかのメーカーのように好デザインをむざむざ安売りしたりは決してしない(ユーザーにとってはマ◯ダは素晴らしいメーカーだが・・・)。

  シロッコのグレード設定は実に巧みだ。ベースグレードに使われているVWの1.4LターボTSIはブランドの屋台骨と言える主力エンジンなので、悪いということはないが、あくまで「大衆車」向けの良質なエンジンに過ぎない(日本の1.5LのNAのスカスカ加減からすれば良いということになるだろうが・・・)。そこで上級グレード(シロッコR)の2Lターボ(256ps)に目がいくのだが、本体価格は515万円と一気に跳ね上がる。これはアウディTTの2Lターボ(211ps)のクワトロ(4WD)が買えてしまう価格帯なので、このサイズのスポーツモデルが欲しい人なら、TTに流れることが多いのかなという気がする。

  シロッコRがゴルフR(505万円)に10万円上乗せでOKなら、ゴルフハイライン(299万円)やゴルフGTI(368万円)にも10万円上乗せでいいんじゃないの?と勝手なことを考えてしまう。もしその価格で発売されたら、間違いなくシロッコはとてもお買い得だ。さらにこのクルマの良い点として、スポーティなデザインにも関わらずホイールベースはゴルフと変わっていないので、後席空間が犠牲になってはいないことだ(もちろん2ドアだから乗り降りには支障はあるが・・・)。アウディTTやプジョーRCZといった同サイズのスポーツモデルはことごとく後席には大人が乗車できなくなっているのとは対照的だ。TTはゴルフのシャシーを100mmも切り詰めているから実質2シーターだ。

  さらにゴルフの外観上の最大の欠点と言える「腰高感」を解消すべく、全高を65mm低くしてある。これにより伸びやかで美しいデザインというだけでなく、低重心でコーナ―での旋回性能もゴルフに比べて格段に高い(だろう)。特にシロッコRは同スペックのゴルフRと比べて車重が120kgも軽いので、10万円の価格差は安いくらいで「R」を買うなら間違いなくシロッコだと思う(某試乗レビューではトラクションの関係もあって、一概にシロッコRがいいという訳ではなかったようだが・・・)。


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↓メルセデスAクラスやボルボV40などでは「逆立ち」しても勝てないほど、シロッコのデザインはいいですね。

2013年6月9日日曜日

プジョー508 「プジョーデザインは世界を制することができるか?」

  世界の有名ブランドメーカーの中で最も優れたデザインを生み出しているのはどこか? クルマの価格にも大きく差があり単純に比較はできないので、簡単に1番はどこかなんて決めることはできないが、確実に上位に来るメーカーはある程度は見当がつく。20年前ならばホンダで、10年前ならアウディだったような気がするが、今はいったいどこなのか?特に「優美」なデザインが際立っているのは、間違いなくマセラティだろう。5年ほど前から台頭が著しく、現代の「スペシャリティカー」デザインの先端に位置している。ライバルの超高級車の中でも抜群のプロポーションをしていてとても目を引く。しかし1000万円超のクルマばかりを展開するメーカーなので、これが1番と言われたら「大衆ブランド」に出番はない。

  他のブランド(大衆ブランド)ではフランスの「プジョー」が、上から下のグレードまで良いデザインのクルマを揃えているように思う。新型車208はBセグということで注目度はそれほど高くないが、このクラスでは珍しいほどにデザインの作り込みの良さを感じる。Cセグの308は2007年デビューを感じさせないほどの完成度を誇っていて、他の追従(BMW1やメルセデスA)を許さないハッチバックの頂点のデザインだと言える(特にリアの造形はCセグ車では孤高の地位にある)。スポーツカーの「RCZ」も強烈な個性を発していて「スペシャリティカー」としての存在感はあるが・・・。それでも308と共通の足回りを使うのはいかがなものか(オーリスに86のボディを被せたようなものだ・・・)? 

  そしてプジョーが誇るDセグセダンが「508」で、こちらも強力なライバルを押しのけての鮮やかなシルエットが印象的だ。BMW6シリーズグランクーペをDセグに落とし込んだと言うとやや語弊があるかもしれないが、サイドのキャラクターラインはややシンプルながら、リアの造形はまさに「スペシャル」で、全体的に豊かな曲線美に360°覆われている。現在大流行中のサイドにプレスラインを思いつくままに入れて、「エッジ感」を競い合っている日独メーカー車とは一線を画しているのも特徴で、むしろそのおかげで個性が引き立っていて、Dセグではとても「華」のあるデザインだ。

  ただせっかくの好デザインなのだが、クルマ自体のスペックはなかなか特筆すべきことが見当たらないのがやや残念だ。1.6Lターボの1グレード設定で1500kg超の車重を考えると、もうちょっとバリエーションのあるパワーユニットを用意してもいい気がする。ただ設計自体は後から登場している新型セダンに影響を与えている点もある。FF車としては2815mmで最大級のホイールベースを持っていて、後席の居住性はFFの全長5m超サイズのクルマ並みに優れている。登場の時点でトヨタカムリや日産ティアナよりホイールベースが50mm程度長く設計されているから、どれだけ「ゆとり」があるか分かると思う。このプジョー508のサイズにかねてから注目していたであろうマツダは、新型アテンザのセダンでは2830mmになり先代と比べて100mm以上も伸ばして来た。

  プジョー508が導入し、新型アテンザが追従した新しい設計は「FF専業メーカー」が仕掛ける「セダン革命」の尖兵と言うべき「革新性」に富んだものになっている。FFセダンの有利さを生かした上での更なる「戦略的設計」は、従来のFRセダンにとってかなりの脅威になっている。

  508とアテンザの2台はDセグとEセグの中間点の「クラスレスな魅力」を掲げていて、メルセデスEクラスやBMW5、レクサスGSといったクラスのFRセダンと同等以上の居住性を持っている。ミドルセダンの「ホットゾーン」が現在どこにあるのか、まだ定かではないがこの2台のFFセダンは居住性だけでなく、デザイン面においてもプレミアムセダンを相手に優位に立っていて、勢力図を徐々に塗り替えつつある。その印象は「狭くてダサい」DセグFRセダンや、「中小企業の社長車」のEセグFRセダンのどちらにも無い輝きを放っているように見える。今後プジョーとマツダがどこまでマセラティに迫る魅力を発揮できるのか? この3社が現状では「デザインTOP3」なのは間違いない。


   ↓508のコンセプトを上手くコピーし、時流に乗りつつある「マツダ6」
  

2013年6月5日水曜日

レクサスISとBMW3 「クルマの本質が見えにくい『八方美人』っぷりに疑問」

  「レクサスIS」と「BMW3」どちらもベースグレードで総額500万円するのだから、「満足度」はそこそこ高いクルマであることは間違いない。大衆車と変わらない性能だと考えると「高い」が、高級車の中では「格安」という二面性を持っているので、当然ながら「毀誉褒貶」が激しく、人によってまったく別の評価だったりする。さらにややこしいのが、クルマそのものへの評価云々ではなく、「レクサス」と「BMW」というブランドの価値も評価に含まれてしまうので、そのブランドの好き嫌いでも大きく意見が分かれてしまう。

  どちらもブランドの屋台骨を背負うクルマであることには「異論」の余地はない。そういうクルマは多様なニーズに応える必要があるので、「廉価グレード」「低燃費グレード」「高性能グレード」と大きく設定が分かれてしまうので、余計に「単一車種」としての評価は下しにくい(スタイルや内装に関しては一定の評価はだせるが・・・)。本来、高級車はその設計に一番理想的なパワーユニットを積んでいるべきものだと思うが、日本車やドイツ車には「高級車の廉価グレード」という訳のわからないものが溢れている。

  しかし昨今の消費行動はそういう「訳のわからない」ものを避ける傾向があるようで、この両車の最量販グレードは「廉価グレード」ではなく「低燃費グレード」へとはっきりと移っているようだ。どちらもモデル全体の半数以上のシェアを「低燃費グレード」が持っている、とくに全体の8割に迫ると言われるほど好評なのはディーゼル仕様のBMW320dだ。現行モデルから日本でも大々的に「ディーゼル搭載モデル」が発売されて、その価格設定(ディーゼルだから当然安い)も大いにウケているようだ。ただこれほどまでに極端に販売が集中してしまうということは、従来からあった「ガソリンモデル」の評価が「十分に確立していない」ことの裏返しといえる。とくにBMWは先代モデルから4気筒ターボへの積み替えが急速に進んでいて、「500万円の4気筒車」に対して厳しい評価があるのも事実だ。

  現在のBMWは4気筒への置き換えと同時に、さらなるブランド価値向上を目指し、「直列6気筒+HV」(アクティブハイブリッド)と「V型8気筒」エンジンを搭載した「上級モデル」の拡充にも力を入れている。ここまで「露骨」に二極化が進められると、BMWの4気筒モデルは、たとえば男性服の高級ブランド「ポールスミス」における「PSライン」のような「ライセンスプロダクツ」(疑似ブランド)の態に見えてしまう・・・。結局このBMWの戦略は日本においてはうまく機能してはいない。500万円をクルマに注ぎ込める日本人の客層は、世界で「最も賢い消費者」といっても良いほどでこの手の「商法」には敏感に反応して購入を控えてしまうようだ(同じような手法で儲けている人々なのだから当然だが)。当然の結果ながらBMWは「高性能グレード」も「廉価グレード」も販売が振るわず、販売の8割が「エコカー」なのだから、もはや「エコカーブランド」(ディーゼルカー・ブランド)と言ってしまっても差し支えないと思う。

  これはレクサスに対しても同じことが言える。高級車の象徴とも言える「大排気量」のグレードで軒並み大苦戦を強いられていて、販売の主体は「ハイブリッド」に大きく依存した体質になっている。さらにGSとISの「廉価グレード」で使われている「V6の2.5Lエンジン」も基本設計が古いということもあり、パワーも無く燃費も悪いので、最新型のプレミアムカーに搭載されるようなものではないように思う。このエンジンの開発費の「減価償却」はとっくに終わっていて、本体価格250万を下回る「マークX」に搭載されるものと共通のエンジンに過ぎない。そんなクルマに500万円を払う価値があるのかどうか疑問だ・・・。

  結局レクサスISもBMW3も「エコカー」として買うか、「高性能車」として買うならまだまだ賢い買い物になるとは思うが、「廉価グレード」に関してはちょっとオススメできない。


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2013年6月3日月曜日

マセラティ・クワトロポルテ 「このクルマが売れる理由」

  所用があり赤坂にある「東京ミッドタウン」にクルマで行ってきました。日曜日の午後で多くの買い物客でテナントはとても賑わっているにもかかわらず、マイカー利用者は少ないようで駐車場渋滞などはまったくありませんでした。スムーズに地下駐車場に進むと、空いている場所を探す必要もないくらいに、どこでも停められる状態でした。しかもどの場所も駐車スペースは十分で、東京西部に住む「田舎者」の私にとっては「豪華」すぎてとても驚きました。

  さらに驚いたのは、異常なまでの「輸入車率」の高さで、軽く50%を超えていたと思います。地上であれだけ沢山走っている「プリウス」や「アクア」がなんと1台もいないのです。国産車は家族連れのミニバンが数台と、あとは各メーカーのフラッグシップセダンばかりだったと思います。いつもは大きく見える自分のクルマが平均以下の大きさ(小ささ)に見えてしまうほどでちょっと圧倒されました(不思議なほど小さく見えてしまうんですよね)。年配の女性が運転していたBMW1シリーズがまるで「日産マーチ」に見えるほどで、旧型のドイツ車などはもっと悲惨で、旧型メルセデスEクラスなどはデザインも古臭いので、完全に「空気」でした(ごめんなさい)。

  輸入車で人気のフォルクスワーゲンなんて絶対にミッドタウンは「無理」という雰囲気です(ゴルフで乗り込んでいったら間違いなく「勇者」です)。BMWなら「M5」か「M6」、メルセデスなら「AMG63」じゃないとカッコ付かないほどです。前向きに駐車するのが基本ですが、M5だけが洞窟のような駐車場にわざわざ頭から入れて後向きに停めていて、尻についている「M」マークを必死で見せていて、とても面白かったですね(BMWの面だけじゃ笑われるのか?そんなことないだろ)。ポルシェ996型911もなんだか「軽のオープン」(コペン?)のような存在感しかなかったです。カイエンもぜんぜん「普通」のクルマに見えます。あくまで自分が感じたってだけですが・・・。

  そんな想像を絶する空間でひと際輝いているのが、マセラティの「クワトロポルテ」と「グランツーリズモ」でした。ドイツ車を圧倒する存在感は抜群で、このクルマならフェラーリやランボルギーニに囲まれても一歩も引けをとらないほどに「優美」ですね。普段の「お買い物」にミッドタウンを使う人にとっては1500万円で4000万のランボルギーニ・アヴェンタドールに匹敵するマセラティはお買い得と言えるのではないでしょうか? 改めて実車を見ると「イタリア車」のレベルの高さをまざまざと感じます。「ドイツ車」で対抗できそうなクルマはオープン状態で入ってきた「SL・AMG63」くらいだったと思います。

  「マセラティ>ジャガー(XJ)>レクサス=メルセデス>BMW>ポルシェ>アウディ」のヒエラルキーを感じました。「アベノミクス」で最近はマセラティが絶好調のようですが、この状況を見れば誰だってマセラティが欲しくなるのはよく分かります。それにしても「赤坂」の人々はやはりクルマの価値がよくわかっている人が多くて、見事にV8モデルばかりだったような印象があります。直4モデルの輸入車では決して入ってはいけない場所が「ミッドタウン」の地下駐車場ですね(東京近郊だったらどこ走っていてもバカにされますが・・・)。



  
↓「ミッドタウン・マッドネス」とはまさに・・・

2013年6月1日土曜日

メルセデスSLKとBMW Z4 「スポーティカーだから許される4気筒&FRということか・・・」

  現代のクルマは十分なエンジンの高性能化の恩恵を受けて、どんな設計であれ大抵のクルマならリミッターに当てることも簡単に出来てしまいます。特別に高性能なクルマを欲しないならば、クルマ選びの最大のポイントは「デザイン」でOKではないかと思います。よくプロの自動車評論家の中には「カッコだけ」と揶揄する人もいたりしますが、全員が本気モードのスポーツカーを選ばなければいけないということはないはずです。よって「デザイン」さえ良ければ、クルマはそれでOKで、評価される(ヒットする)ようになってきています。日本メーカーは最近になってやっとこのことがわかって来たようです。

  「デザイン」を徹底的に重視して作られたクルマの例として、真っ先に思い浮かぶのが「メルセデスSLK」「BMW Z4」「アウディTT」のドイツプレミアム御三家の小型スポーティモデルです。それぞれにユーザーを魅了する豊かな造形美を湛えていて、このジャンルに関しては日本車の追従車(フォロワー)が現行では見当たらないほどです。ひと昔まえにトヨタが出していた、最終型「セリカ」はこの系譜に連なるクルマと言えるかもしれませんが、もはやデザインの精緻さでだいぶ差があるように感じてしまいます。デザインだけならフェアレディZ(Z34)がドイツの3台に対抗できる優美さを持っていますが、日産の開発者に言わせれば、Zをその3台と同じジャンルには括らないでほしいというのが本音のようです。つまりZは「デザイン」だけのクルマではないという事です。

  トヨタが昨年に大ヒットさせた「86」もまた、開発を担当したスバルの人たちに言わせると、ドイツの「その」3台とはいっしょにしてほしくないと思っているのではないでしょうか。よくトヨタ「86」の批判の中に「SLK」「Z4」「TT」にデザインで負けているというものがあります。実際にデザインでは86の方が分が悪いでしょう。さらにスポーツカーとしての性能についても言及して「86」を貶める意見もあったりするのですが、その点に関してはスバルの開発者に言わせれば、ドイツ車の3台は純粋なスポーツカーとして誕生したわけではなく、一般乗用車の車台を流用して作られたものにすぎないもので、「86」や「マツダロードスター」のような専用設計のスポーツカーとは本質的に異なる「乗り物」に過ぎないから下手に比べないでくれといったところでしょうか。

  「SLK」「Z4」「TT」の3台は日本でもちゃんとラインナップされていて、そこそこ人気はあるようです。しかし日本車のフォロワーが生まれないのは、この3台がトヨタや日産の哲学に「反した」クルマだからでは?と思っています。一般論として日本メーカーよりもドイツメーカーの方がクルマ作りにポリシーがあると考えられているようですが、小型スポーツカーに関して言えば現実はむしろその逆と言えます。日本メーカーの開発者達は世界トップ水準の優秀さを誇っていますが、彼らが本当に素晴らしいと感じるのは、設計するクルマが非常に高い「純度」(ポリシー)を持っていることです。日本車の持つポリシーは他の自動車生産国では見られなかったりしますし、トータルで見て、日本車より高いポリシーを掲げる国はまずないです。

  トヨタや日産の開発陣にとって、おそらく「SLK」のベース車の「ベンツCクラス」や「Z4」のベース車の「BMW3シリーズ」は、彼らなら絶対にやらないような設計になっています。「4気筒エンジンにFRのセダン」という設計は、現代の自動車工学の常識ではありえない設計だと言えます。もちろんどちらのクルマにも6~8気筒を積んだグレードもあるので一概に「ひどい設計」とは言えませんが、軽量な4気筒に積み替えたモデルが販売のほとんどを占める状態になっていて、MBとBMWのポリシーが問われています。いずれどちらもFF化してくるのでしょう。日産やトヨタにしても2.5LのV6というガラパゴスなエンジンを使ってユーザーを欺いている気もしますが・・・。

  次期スカイラインも4気筒化が噂されていますが、これに対して日産の開発陣が大反発していると言われています。日産の開発者には絶対に譲れないものが当然にあるでしょうし、現行のV型スカイラインの原点の設計を手がけた水野和敏さん(GT-Rも開発した)が最近になって日産を突然に退社するという事態もあり、どうやらスカイライン開発の現場ではかなりの刷新が行われたようだ。日産が日本メーカーのポリシーを捨てて「ドイツ化」しようがしまいがどちらでも良いのですが、日産経営陣の眼に映っているのは、「デザイン」だけ雰囲気を出して、中身は4気筒ターボに載せ変えた「SLK」や「Z4」に群がる日本人ユーザーなのだと思います。


↓カーグラフィックにはぜひ、ドイツ車の「4気筒FR」とトヨタ&日産の「2.5LのV6」についての告発をしてほしいと思います。