2013年5月29日水曜日

ポルシェ911(991型) 「今のドイツ車で一番の会心作だと専らの評判」

  スポーツカーを作るメーカーはどこも綱渡りの経営をしていることが多い。当然ながらスポーツカーを好む人はクルマに造詣が深く、そんなカスタマーを満足させて購入に至らせるクルマを作ることは並大抵の努力ではない。それこそ「クルマなんてなんでもいい」という人を相手にする大衆車と比べて何倍も労力がかかるだろうことが想像できる。たとえライバルモデルを軽く凌駕するような「画期的な」スポーツカーが出来たとしても、世界同時不況などが起これば真っ先に販売は落ちて行くからまったくもって安定とは無縁のビジネスモデルだ。

  スポーツカーの代名詞とも言える「ポルシェ」も幾度となく経営破綻の危機を迎えてきたが、近年ではスポーツカー専業を諦めてSUV(カイエン)やセダン(パナメーラ)を作るようになった。しかしそこはさすがポルシェの知名度というべきか、まったく実績がないジャンルでのクルマ作りにもかかわらず、初代モデルからあっさりと大ヒットさせている。いくら頂点を極めたスポーツカーブランドとはいえ、それなりに歴史があり「秘伝の味」を持つ幾多のライバルがいる「高級セダン」や「高級SUV」でいともあっさりと成功を収めたのか? それはひとえに40年の歴史を誇るポルシェの主力モデル「911」のクルマ作りへの「尊敬」(世界的評価)による「ブランドイメージ」の賜物といえるだろう。

  ちょっと語弊があるかもしれないが、ポルシェというブランドは「秘伝の味」に値する1つのモデル(911)と、経営安定化を図った4つの戦略モデル(ボクスター、ケイマン、カイエン、パナメーラ)によって構成されている。「1:4」という数字を見てピンときた方もいるだろうが、まさに「パレートの法則」でポルシェは成り立っていると断定できる。この法則をそのまま当てはめると「2割の車種が8割のブランドイメージを作り上げている」ということになる。簡単に言うとポルシェは「911だけでブランドイメージの8割を体現している」ということだ。

  これは他のスポーツカーブランドおよびプレミアムブランドにも十分に当てはまることだと思う。よってそのブランドの「2割」に入るクルマを選ぶと、そのブランドが研究費などを特に重点的に配分している可能性が高く、結果的にお得なクルマになるというわけだ。ポルシェのたった5つしかない現行モデルの出来を改めて見てみると(あまり詳しくはわかりませんが)、「911」ばかりに最新技術が集中して運用されていることがわかる。991型から導入されたものもいくつもある。なんていっても7速MTという聞いた事がないミッションを積んでいる(もはやライバルは高速バスなのか?)。

  見も蓋もない言い方だが、ドイツ車は基本的に嫌いだ。それでもこの991型なら好きになれそう(ほしいと思える)な予感がする。このクルマは「スーパースポーツ」であることは確かだが、いろいろと調べてみると、フェラーリともGT-Rとも「意味合い」が大きく違うクルマだということに気がつく。まずフェラーリのような「華美さ」を意図的に抑えてあるクルマだ。このクルマなら日常に使ってもそれほど「嫌味」ではない気がする(これはスーパースポーツとしては異例のことだ)。もちろん近所のスーパーにこれで出かけていけば、少なからず違和感はあるだろうが、フェラーリでいくよりは断然にマシだ(フェラーリでスーパーに行くのは「公序良俗」に反する!そもそも障害者用スペースじゃないと停められないし)。

  GT-Rともまったくと言っていいほど違うクルマだと思う。結局は911はその性能でR35GT-Rに圧倒されてしまった「負け犬」である。カタログモデルでは「911ターボ」でもまったく歯が立たない(ポルシェじゃ反撃するカネもない・・・)。一方でGT-Rは日産が得た「世界最高」の勲章そのものだ。誰でも911より安全に速く走ることができる「とんでもない」クルマだ。ただ「負け犬」と「世界最高」のどちらを愛車にしたいですか?と言われて、即座に「世界最高」と返答するのはあまりにも風情がないように思う(つまり軽薄だ)。

  911とGT-Rを選ぶのはなかなか難しいところがあるが、今の心境ではGT-Rにはまったく勝負にならない「NAの911」(それでもGT-Rよりかなり高価だ)を選びたいところだ。「華美でない(地味だ)」「負け犬」の911のイメージが定着し、影が薄くなってきた2012年に登場したのがこの「991型」だ。その佇まいはなんとも「哀愁」をさそう。日本でのポルシェ人気は他の4車種に完全に分散し、911は元からの愛好家が騒いでいるだけの存在といってもいいくらいだ。そんな「991型」が911史上の最高傑作だと専門家は口を揃えている。カイエンやパナメーラにはまったく興味はないが、この991型にだったら「べらぼう」な金額を使ってもいいかなと思えてくるのだ。


↓ポルシェ大好きな担当ライターがゲストオーナーでそのまま出てくるお粗末さがありますが・・・

2013年5月26日日曜日

ランエボX 「ドイツ車って結局はエボを目指してるだけじゃ・・・」

  見も蓋もない話をするが、結局「セダン」というものは駆動シャフトの周りに「べったりと」粘土が詰まっているんじゃないかという感覚が絶えずつきまとう乗り物だ。これはエンジンの性能が低いからではなくて、ジェントルな乗り味と安全性を追求するために急激なGの変化をコンピュータで制御しているからです。ほとんど「放置プレイ」状態のタイヤを履いていることが多い一般車に無制御の駆動系を組み合わせたら、そこいら中で事故が起きまくるだろう。

  そんな「粘土」な乗り味のセダンをひたすらに改良して、スポーツカーに仕上げて「市販化」するという非生産的な行為(失礼!)を続けてきたのが、三菱の「ランエボ」だ。そもそも市販化はレースに出るための「アリバエ」作りに過ぎなかったが、世界的に評価が高まってきて欧州圏では「ポルシェ」や「フェラーリ」と同等のブランドイメージを持っていると言われていて(だからこそいまだに生産されている)、日本国内では散々な三菱でも、好調なマツダと同等の利益を挙げることに(イメージアップで)貢献している(と思う)。

  近年、ドイツブランドで一番成功しているといわれる「アウディ」も、その要因を考えると、世界を席巻していたランエボ人気に一番うまく追従した結果だと言える。ドイツプレミアムの主力であったFRの「粘土」セダンと乗り比べれば、アウディの4WDモデルはエンジンの性能以上のトルク感がわかるほどで躍進も素直に頷ける結果だ。いまや欧州車はアウディの躍進とともに新たな流行へと変化していて、「低速トルク」を重視したエンジンを使うことが多くなっている。カタログの数字だけを見ると日本車とはだいぶ性質が違っていて、俄には信じ難い高出力に驚かされる。

  とくにFRを中心に展開するMBやBMWは徹底的に「軽量化」を志向している。4気筒ターボエンジンを主流にして車重の増加を抑えつつエンジンの性能を最大限に活用することで、トラクションでアウディ車に対して不利なFRの弱点を軽減しようとしている意図がよくわかる。4気筒の採用については欧州の環境基準が理由という説もあるが、6気筒や8気筒モデルも当たり前のように市販化されているので、やはり「軽量化」が第一の狙いだと思われる。BMWは3シリーズの車重を1500kg程度まで抑えていて、4WDのアウディよりも150kg程度優位に立っている。

  この潮流を作り出した「ランエボ」の現行モデルは4WDで1500kg程度に抑えている(それでも先代モデル(エボ9)よりも100kg増加してはいるが・・・)。評論家はしばしば「日本車とドイツ車の差はまだまだ大きい」などと言っているが、ドイツ車の目指す先に君臨しているのは「トヨタ」(ドイツ顧客満足度2位)の完成度だったり、「マツダ」(同3位)「三菱」(同4位)の技術力だったりする。何度か他のブログで書いているが、ドイツの老舗ブランドの「メルセデス」(同1位)ですら、三菱を「買い取って」得た技術を使ってクルマ作りをしているに過ぎない。AクラスやCLAクラスといったFFの新商品は三菱車そのものだ(ある意味お買い得ではあるが・・・)。

  そんな日本を代表する「ランエボ」もいよいよ過渡期を迎えていると言われている。三菱ワークスチームがラリーから撤退したため、市販車を売る理由がなくなってしまったためだ。来年に噂されている「ギャランフォルティス」のFMCでは、とうとうセダンのベース車が日本国内では消滅すると言われていて、セダンの「ランエボ」も現行がラストになるのだそうだ。「エボ」のためだけに後輪に「マルチリンク」を使っていた現行ギャランフォルティスはコスト面でもかなり苦しいらしい・・・。セダンじゃなきゃエボじゃないという気もしないでもないが、「エボ」に乗ってゴルフに出かける「風流人」も少なくなっているようで、残念だが仕方がないようだ(GT-Rをもうやらないなら、日産がスカイラインを供給すればいい気もするが、「スカ=エボ」なんてどちらのファンも激怒しそうな展開だ・・・)。


 ↓北米・欧州で絶賛発売中のランサーを日本ではなぜ売らないの?シビックと同じ理由か?
 

2013年5月21日火曜日

新型アテンザ 「世界のスタンダードセダンの最先端へ」

  「ミドルサイズセダンの正しい作り方」というテーマを考えてみたい。世界にちらばる幾多のメーカーによって、ほぼ同サイズのセダンがそれぞれ作られている。外見だけを見ても、デザインの差であったり内装であったりと、各メーカーごとに千差万別であるが、これは好みの問題もあるので一概には言えない。少なくとも「北米」「欧州」「日本」で販売されているものに関しては、どれもそれなりの意匠を持って「楽しませてくれる」デザインになっているのではないでしょうか。

  ただ各社とも「良いクルマ」に見せようとする努力は、後付けでも十分に対応可能であったりしますが、クルマの駆動方式であったり、使用するプラットフォームは簡単には変更できません。面白いことにこのプラットフォーム(車台)に関する考え方が各メーカーで個性があるので、このクラス(Dセグ以上)のクルマは「選ぶ楽しみ」があるように感じる。近年では車台の共通化が急速に進んでいて、現在は資本提携関係でなくなったメーカー同士が同じルーツの車台を使っていることもよくある。特に日本では最近になって「セダン」人気が再燃しているが、新型セダンに使われている車台は、そのメーカーの考え方を如実に示していていて興味深い。

  新型アテンザに使われている「マツダ(フォード)・CD3プラットフォーム」は、2002年の初代アテンザ用に開発されたものを、改良して使っている。この車台はマツダにとっては「虎の子」といえるもので、フォード傘下時代にマツダがフォードグループセダン向けに開発したものです。当然ながら、当時の親会社であるフォードの資金援助によって開発に漕ぎ着けたものであり、マツダ単体であったら同じものをもう一度最初から開発しろといっても、決してできないものだそうだ(山内社長のコメントによる)。10年以上も前の設計ではありますが、マツダは「渾身の一台」である新型アテンザにこのPHを自信を持って投入しているようです。

  この車台(CD3)は旧フォードグループの各社によっていまも大切に使われている。そして現在ではDセグセダンの「最大手」と言える車台にまで広く普及していて圧倒的な競争力を誇っている。その原動力となっているのが、フォードの「フュージョン」とその欧州版「モンデオ」だ。北米のセダン市場では「カムリ」「アコード」の2強に新たに「アルティマ(ティアナ)」「フュージョン」の2台を加えた「4強」の激しい争いになっている。年末にはどのクルマが年間販売1位に輝くかはまだまだ不透明な状況だ(すべて日系メーカーの車台!)。これに「新型マツダ6(アテンザ)」と米国安全基準の頂点に輝くボルボ「S60」(CD3PH使用)が加われば、車台としては「マツダ」が頂点に立つ事になる。

  「CD3プラットホーム」はFF車用でありながら、FR車に近い(超えた)ハンドリングを実現しつつ、FF車の特性である「直進安定性」「加速性能」「居住性」で他のFR車用の車台を大きく凌ぐ実力を持っている。弱点はV8のような大排気量エンジンが搭載できないこと、小回りが利かない点くらいだ。さらに下級車種との共用の車台ではなく「Dセグ専用」となっていて「性能」が保障されていることはユーザーにとっては嬉しい情報と言えます。しかし最新のVWの「MQB」(次期パサートに使用?)やPSAの「EMP2モジュラー」(508後継に使用?)といった「B〜Dセグ」までを網羅する「汎用性の高い」プラットホームにコスト競争で苦戦する可能性もあります。

  マツダ・フォード・ボルボとしては「CD3」を今後も改良してセダンを作り続けるらめには、この車台の優越性を生かした「高性能セダン」のブランディングが必要です。簡易的な車台を使ったクルマとの実力差をしっかりとユーザーへ伝えていく努力に加え、さらなる「走り」の改良を進めていかないと(メルセデスEクラスに匹敵するようなクルマにしていかないと)、この欧州の「コストダウン」の波に飲み込まれてしまうかもしれません。

↓旧フォードグループの中でも最先端を走る「アテンザ」は世界最良のパッケージと言っても過言ではないかも・・・(世界はその事実を日本以上に認めていたりします)。

2013年5月17日金曜日

BMW3シリーズとトヨタ86 「女性のためのベストクルーズカーは?」

  彼女が予想以上にクルマに詳しくなってしまって、ドライブしていて見かけたスポーツカーの名前をことごとく知っていて驚かされます。自分のクルマを買うことを決めているらしいのですが、どうやら「スポーツカー」に乗りたいと考えているらしいです。中古車価格なんかを自分以上に細かくチェックしていたりして、相場にも相当に詳しかったり(女性は価格にシビア)するので、話をしていてもとても面白いです。

  ただ自分なんかよりも確実にスポーツカーが似合うのは彼女の方だと思うので、気に入ったものがあればぜひ乗ってもらいたいものだと思います。彼女のクルマ選びの為という「名目」があれば、男だったらまず買わないようなクルマにも堂々と試乗することができそうです。スポーツカーに限らず、BMW3シリーズなんかにも試乗してみたいものです。こういうクルマを好き好んで乗っている知り合いなんてまずいないので、ほとんど乗る機会がなかったりします。30歳を過ぎたら購入することもないだろうから、男が乗るチャンスがあるとしたら20歳代半ばくらいまででしょうか? 

  BMW3シリーズは女性が乗るにはとてもいいクルマに思えます。あくまで主観的な「イメージ」でしかないですが、女性が運転しているととても「知的」に見えるクルマだ(その逆のイメージがゴルフと旧Aクラス・・・)。男が乗ると「とんでもないイメージ」になってしまいますが、女性にはとても似合うクルマは、輸入車・日本車問わずとても多かったりします。まるで「現代のクルマは女性の為にある」といってもいいくらいではないでしょうか?

  「トヨタ86」なども彼女が乗るにはピッタリのクルマに思います。とにかくあの「狭さ」は身長が180cmもあるとかなりの抵抗があって、とても自分のクルマには考えられません。トヨタの渾身の「スポーツカー」がなんでこんなに縮こまったものになってしまったのでしょうか?次はぜひにマセラティ「グランツーリスモ」みたいなスポーツクーペを600万円以内で作ってほしいと思います。せっかくのトヨタ86ですが、現状ではメルセデスSLKとBMWZ4への「対抗車種」以上のポテンシャルを感じられません。もちろん「スポーツカー専用設計」であることは大きなポイントで、「一般車」の改造車に過ぎないSLKやZ4よりは、スポーツカーとしての価値は高いように思うのですが・・・。

  彼女は他にも「RX-8」だの「ロードスター」だの羨ましいほどに「楽しそうなクルマ」を物色しています。これだったらお世話になっているマツダのディーラーに行けば用意してもらえるだろう。どちらも自分にとっては小さいので購入対象として考えたことはほとんどない。マツダのスポーツカーならハンドリングも超絶だと思うので、彼女がもし買ったらちょくちょく運転させてほしいなと密かに期待しています。


2013年5月13日月曜日

レクサスLS 「4ドア車だけじゃもったいないな・・・」

  「オットマン」装備の豪華なシートと飛行機のファーストクラスを思わせるセンターコンソールを配した後部座席の写真ばかりが、関連パンフレットなどに多く収録されていて、レクサスLSの「セレブ」イメージをバラまいている。よくよく読むとこの後部座席は「エクゼクティブ仕様」という特別なグレードのもので、いわゆる「超」が付くくらいのお金持ちのお嬢様の通学の送迎に使われる為のクルマだ。間違っても独身男が愛車にするクルマではない・・・。

  それにしても、クルマ好き(男がほとんどだろう)しか買わないようなパンフレット本に、そんな写真ばっかり挿入されても、まったくといっていいほどクルマの良さが伝わってこない。こんな写真ばかりを使ったカタログなら、特定の顧客向けに作って、菓子折り持参で営業マンに自宅まで届けさせたらいいのでは?と思う(そもそも一般人がLSのカタログを手にするのが間違いなのか?)。

  それでもLSは「超」金持ちに媚びたラインナップ以外は、とても真っ当でカタログモデルでは「世界最高」のクルマといっても過言ではない。日産GT-Rがその性能を考えたら「安い」と言われるのと同じように、LSもそのパッケージングの良さを考えたら「安い」でOKではないかとすら思う。トヨタ(レクサス)ももっとこのクルマに自信を持っていい気がする。もちろん「フラッグシップ」として自信を持ったクルマになっているとは思うが、ベンツSクラスのようなクーペを用意しないあたりにまだまだ自信の無さが伺える。もっとクルマ好きな「セレブ」に訴求できるようなグレードを作ってもいいのではと思う。とりあえず「Lパッケージ・エクゼクティブ」はカタログ落ちさせて、特定の顧客にセンチュリー的に販売すればいいので、プライベートカーとしての「LS」の魅力を引き出すクルマに仕上げてほしい気がする。

  このクルマなら「2ドア」にして、メルセデスCLに対抗することも可能なはずだ。4輪マルチリンクで、エンジンはもちろん全車V8。当然ながら世界最高レベルの静音設計。しかも2ドアなのに「Lパッケージ」で150mmのストレッチという余裕の設計(Lパッケージなのに長くならない「アテンザ」って何者?ラグジュアリーってことだろうが・・・)。これ以上ないほどに「所有欲」をくすぐる設定が元々のクルマに備わっているので、そんな「究極なクーペ」に1000万くらい払ってしまう人はかなりいると思います。会社経費で引き落とせない「2ドア」だからこそ「乗りたい」という人も多いはずです。むしろ会社のお金で乗ってる感「丸出し」の4ドアセダンなんて絶対に乗りたくないという意見もあります。一緒に頑張っている社員の前で4ドアの「Sクラス」や「LS」乗り回す経営者なんて魅力もセンスもないですね・・・。

  日本の若者が仕事を頑張ろうという動機になるクルマとして、日産「GT-R」がありますが、どうやら日産は開発を終了してしまうようです。トヨタはBMWと提携してスープラの後継車を作ることを決めているそうですが、すでにBMW6として存在しているクルマなので、いまいち「所有欲」が高まりません(十分にいいクルマですが)。もっと「最高のクルマ」と言える国産プライベートカーがあった方が、やる気のあるヤツは一生懸命働いて、結果として日本の景気も良くなるのではないでしょうか。


↓スープラ復活より、LSクーペを希望!

2013年5月10日金曜日

ジャガーXK 「1000万円超のお買い得 ”純正スポーツ”」

  欧州の「純正」スポーツカーの新車日本価格は当たり前に1000万円を超えるものばかりで、ポルシェのボクスターが一番低価格の部類になるほど高額だ。そもそも「純正」スポーツカーを日本の公道を走らせるためだけに買うという「発想」はいくらクルマ好きでもなかなか出来ないし、たぶん欧州でも状況は同じだと思う。それでも日産が1000万円以下でGT-Rを発売するようになってから、いわゆる高出力の「スーパースポーツ」も一部の人気ブランドを除き「中古車市場」ではかなりの値崩れを起こしてきている(新車価格はまだまだ強気だが・・・)。

  ジャガーXKはV8エンジンをフロントに積んだ、まぎれもない「スーパースポーツ」だが、同様のパッケージングのアストンマーティン「V8ヴァンテージ」に比べて、中古車価格はかなり下がり気味だ。5年落ち1万キロ走行(!)のものを探すと、XKが400万円でヴァンテージが750万円だ。今まで新車で1500万円以上するスポーツカーは無意識のうちに購入対象から外れていたが、少なくとも「XK」に関してはかなり現実的な価格な気がする。しかもこのXKは現行モデルだ。いくら維持費が多くかかるとはいえ、5LのV8搭載で4シーターのスポーツカーがメルセデスSLKとほぼ同じ中古車価格になっている。

  スポーツカーを実用車とするにはなかなか「弊害」が多いのだが、パッケージを考えた時に、「英国スポーツカー」はなかなか魅力があるように思う。日産がGT-Rを開発した時にこだわったのが「安全で実用性がある」という点で、その結果採用されたのがフロントシップエンジン&4シーターだ(スカG後継なのだから当然ではあるが・・・)。このフォーマットはドイツやイタリアのスポーツカーにはなかなか見られないが、イギリスのスポーツカー(アストンマーティンとジャガー)では基本となっているスタイルだ。実際に日本でGT-Rを所有している多くの人が家族と一緒に乗れる(自分だけが楽しむものではない)という発想があるように思う。同じ島国のイギリスでも同様の「考え」があるのかもしれない。

  とりあえず「完全4シーター」というのは、純正スポーツを検討するにあたって、背中を押される「必須」の設定だと思う。ただここで見落としがちなのが、このスポーツカーの1台体制で「健全」なカーライフが送れるのか?という点だ。人それぞれ意見は分かれるだろうが、例えば仕事の後に帰宅して夜に近所のスーパーに買い物に行き、その辺を一回りしてくるような「習慣」がある人なら、夜の11時に5Lエンジンを点火する時に毎回気まずい思いをするかもしれない。さらに夜中に必要なものが出て来て「ドンキホーテ」に行くのに「スーパースポーツ」で出かけていくのは不粋だ・・・。結論としては「スーパースポーツ」は2台体制が大前提な気がする(少なくとも自分は)。とりあえずは頑張って稼ぐしかないようだ・・・。


↓先日ひっそりと2013年版が出てました。ドイツの「ワールドオートガイド」よりも、日本のこちらの方が見やすい気がします。

2013年5月8日水曜日

フェアレディZコンバーティブル (Z34)

  GT-Rの開発が終了する替わりに、日産は次期型フェアレディZの開発を決定したそうだ。2シータースポーツクーペというジャンルはとうとう絶滅するかと言われていたが、セダンなどの乗用車の車重がどんどん重くなり車体も大きくなっていって、現実的にスポーツ走行に向かないクルマになってきたこともあって、近年再び人気が復活してきている。日産としてもこのブームに乗りたいの考えているようだ。

  日本で日産ほどスポーツモデルの伝統を重視するメーカーはないといってもいいほど、フェアレディZは大事に作り続けられている。トヨタにしろホンダにしろスポーツクーペが何台もFMCを繰り返すことはまず無い。幻のスポーツカーとして未だに中古車市場で高値で取引されている「NSX」や「S2000」と同じように、ホンダCR-Zやトヨタ86もFMCを迎えることなくモデル廃止になりそうな予感がする。日産以外でFMCを繰り返しているのはマツダのロードスターぐらいだ。もっとも欧州ではマツダはスポーツメーカーとして認識されているくらいなので、当然のことではあるが・・・。

  日産・BMW・メルセデスといったフルラインナップのメーカーが、スポーツカーを作るときに陥りがちなのが、既存のセダンのホイールベースを切り詰めて作った「専用設計ではない」低コストなシャシーを使ったりすることだ。それぞれ「フェアレディZ34」はスカイラインV36の設計を、「メルセデスSLK」はメルセデスCクラスの設計を、「BMWZ4」はBMW3の設計を使って作られたクルマだ。よってポルシェやマツダのような専用設計のスポーツカーと比べると、スポーツカーとしての性能には疑問符が付くという指摘が見受けられる。

  BMWやメルセデスはそういう素性の良くないスポーツカーを「ピュアスポーツ」だとして「厚顔無恥」にも販売している。しかしスポーツカーの熱心なユーザーほど「素性」は大事にするので、これらのクルマは見向きもされない。その代わりに「ファッション」でこういうクルマに乗る人々にはそこそこ人気があったりする。悲しいことにフェアレディZはこの2台と「同類」にされてしまうようだ。


  Z4とSLKは性能面はいたって普通のクルマで、車重はセダン並みの1500kg前後ある。マツダのロードスターの軽さには遠く及ばない。それに引き換えフェアレディZは40kg・m近いトルクを引っさげたハイパワーで、ロードスターとは別の楽しみ方がある。V6エンジンゆえの噴け上がりの悪さを指摘する声もあるが、400万円のスポーツカーに多くを求め過ぎな気もする。少なくとも、フェアレディZは価格に見合う実力を十分に持っている時点で、Z4やSLKとは違ってスポーツカーとしての個性と明確なコンセプトを持ったクルマになっている。日産が次期モデルでさらにどんな新しいコンセプトを示してくるかが楽しみだ。

↓日産が「シルビア」ではなく「フェアレディZ」を選んだことで、日産は孤高の高級車メーカーへと歩みを進めることができた?

2013年5月3日金曜日

ダッジ・チャージャー 「アメリカ車の輸入が滞っていてつまらない日本の新車販売」

  日本ではアメリカ車への偏見は根強い。自分も人様のことを言えないが、想像のなかで日本の工業は世界の最先端であり、アメリカや中国の技術は取るに足らないと感じている部分がある。そこから生まれる想像により、日本車とドイツ車こそが、世界の頂点に位置するクルマ作りであって、フランス・イタリア・ドイツ・スウェーデンのクルマは「許容範囲」で、アメリカ・中国のクルマは「拒絶」というあからさまな反応になってしまうようだ。しかしよく目を見開いて見てみると、中国車やアメリカ車の「進化」は日本車やドイツ車のそれよりもスピードが早いことに気がつく。クルマ以外の産業を考えてみればすぐにわかる。日本やドイツのメーカーがアメリカや中国のメーカーより「加速感」を持って進化している例なんてまず存在しない。

  こんなことを書いていると、「中国なんて日本のパクリじゃん」みたいなことを言ってくるガキが日本中に充満している。親がバカなのかテレビの見過ぎなのかわからないが、そういう発言を聞くたびに「終わってるな・・・」と脱力してしまう。

  TPPをめぐる議論でアメリカに「日本市場は閉塞的」だと言われて、日本人の多くは反射的に「反発」するだろう。「アメリカ車が評価されないのだからしょうがないだろ」とか思う人は多いのではないか。しかし客観的なデータを持ってくるならば、同じ自動車大国のドイツの約2倍の市場規模がある日本はなぜか国産車と輸入車を合計しても、ドイツの半分以下のメーカー&車種しか販売されていない。やっぱり閉塞的なのだ・・・。なんでメルセデスEクラスは評価されるのに、基本設計が同じはずのクライスラー300は日本では人気にならないのか? 価格を考えても十分にお買い得だ。アメリカビッグ3が「風評被害」だといいたくなる気持ちもなんとなくわかる。


  2013年が始まる頃は、期待の新型車が続々ということで、なんとなくテンションが高かったのですが、気がつけば日本車とドイツ車「代り映えしない」新型モデルに落胆させられているだけだ。もっと心から欲しくなるクルマを作ってくれないだろうか? 日本車とドイツ車だけの市場では、どんどんデザインは「貧困」になっていくように思う。レクサスのような「生ぬるい」ブランドがなんの努力もせずにお客を獲得できるのが日本市場だ。

  ダッジ・ビュイック・マーキュリーといったビッグ3の上級ブランドは、現在は日本には展開していない。これらのブランドのクルマが全て日本で売れるとは到底思わないが、中には日本で発売してほしいモデルも幾つもある。日本車とドイツ車ばかりのラインアップの日本に、欧州の輸入車よりも割安感のあるアメリカの上級ブランドのクルマがやってくれば、みんなMB新型Aクラスやトヨタ86に「右に倣え」で殺到する必要もないし、個性を求める人々にとっては、個性的なデザインのアメリカ車は貴重な選択肢になるはずだ。今のアメリカ車はドイツ車や日本車以上に壊れないと評判だったりする。新興EVメーカーのテスラはヒドかったらしいが、ビッグ3に関しては、GMにはドイツのオペルが、クライスラーにはMBの技術とアルファロメオなどのフィアットグループが、フォードにはマツダがパートナーとして付いているので十分な開発能力があるのは間違いないはずだ。

↓アメリカ車の性能とデザインがよくわかりますよ。