2013年3月31日日曜日

最強の2台 シトロエンC5セダン&アウディTT

  クルマメーカーは出来るだけ多くのユーザーに選んでもらうために、あれこれと考えて「バリュー価値」の高いクルマを作っている。例えばホンダのオディッセイのようにミニバンでありながらドライビングの楽しさに比重を持ってくるという発想が出てくる。しかしトヨタのアルファードと比べればミニバンとしての快適性は劣るし、ポルシェボクスターにはドライビングフィールでは勝てない。スタイリングだってシトロエンDS5には及ばない。そんな中途半端なクルマはそれほど支持されないことが多い。

  本当にカーライフを満喫したいならクルマは2台あるといいのかもしれない。1ヶ月に2000km以上走行するなら、スーツをローテーションするようにクルマもローテーションさせるのは理にかなっていると思う。2台あれば1台故障しても、代車に乗らずに済むので、故障リスクが高いであろう輸入中古車でも手を出しやすくなる。もちろんクルマの費用は2倍になるが、考えようによっては納得できるクルマを2台揃えれば、長期でクルマを保有するようになるので割安になるとも言える。何より素晴らしいのは、方向性の違う2台を所有することでドライブコースによってクルマを使い分けられることだ。

  このブログのタイトルのように「クルーズカー」と「GTカー」を1台ずつあれば、自分みたいなクルマ大好き人間にとっては最高に人生を楽しめると思う。それではベストな2台とは何だろうか?2台持てるならば総合的に良いクルマではなくて、ストロングポイントを持ったタイプのクルマの方が楽しめそうだ。

  クルーズカーに求める個性は、やはり乗り心地などの快適性になると思う。もちろんスタイリングもとても大事なポイントだ。この2つをしっかり押さえているのが、シトロエンC5セダンでしょうか。ハイドロサスペンションとDWB&マルチリンクの足回りは、トヨタのマジェスタのエアサスなど高級車に匹敵する装備で、400万円台のクルマにしては満足感の高い装備だと思う。さらに長距離ドライブへの適正を備えた1.6Lターボにエンジンが変えられていてリッター10kmは出ると思われる(車重がかなりあるので輸入車はそれほど燃費出ないかも・・・)。ただこのハイドロサスに慣れるともうほかのクルマには乗れないといった声も耳にするので、そこまで中毒性が高いのもちょっと考えものかも・・・。

  GTカーはもちろんハイパワーに比重があるのだが、できれば軽量化技術が進んだクルマを選んで、その軽さを峠道で楽しみたいです。軽量スポーツカーと言えば、ポルシェとロータスのスポーツカーということになるが、やや外観が「本気過ぎる」のと完全2シーターはいくらなんでも、息苦しくて長距離にはあまり向かないというちょっとネガティブな印象がある。ソフトトップのオープンだと保管場所の問題があるし、ハードトップのオープンだと重量がかさんでしまう。結局は日本車のスポーツカーを除くと、結構選択肢が少なかったりする。そんななか、この狭い条件を潜りぬけた奇跡の1台がアウディTTだ。ゴルフGTIよりも軽量化(−60kg)が図られていて、このデザインならかなり納得できる1台だと思う。

  この2台を中古で買うと合計で約600万円くらいです(300万ずつ)。800万くらいするレクサスGSやBMW5を買うよりずっと楽しめるのではないでしょうか?(維持費は2倍ですが・・・)


   ↓アウディTTをべた褒めしてます。シトロエンC6が収録されているので、C5は大衆車扱いでスルーのようです。まあしょうがないか・・・。
  

2013年3月28日木曜日

ポルシェケイマンS VS フェアレディZ

  2シーターのスポーツカーはやっぱりいくら考えても贅沢なクルマだと思う。乗れば感動するのは当然だろうし、「最高のドライビング」に一番近いパッケージはこれだろうと想像できる。4ドアセダンのドライビングでも十分に満足はできるけど、やっぱり一度はスポーツカー所有してみたいし、日本の峠道を走り回りたいという願望はあります。ただ所有するならやっぱり2台持ちにしないといけないですね・・・。

  ではいざ買うとなったら「ケイマンS」と「フェアレディZ」ならどっちがいいだろうか?2代目の予約が始まったケイマンSは初代と比べてデザインがかなり良くなったと思います。初代ケイマンは日産フェアレディZにベンチマークされて、日産のデザイン能力の高さの前にかなりヤラレていた印象ですが、2代目は日産のお株を奪うかのようなフェンダー周りの造形から醸し出される美しさと力強さを感じます。ボクスターにしろ911にしろポルシェはデザインでの訴求力に乏しいメーカーだと断じていましたが、この2代目ケイマンはなかなかのものだと思います。

  「ケイマンS」も「フェアレディZ」も高級セダンに使われるような大排気量NAエンジンにマルチリンクのサスを使っていて、しかも車重が大幅に軽いので、セダンでいう所のM5やレクサスIS-Fのような加速が楽しめるところが最大の魅力です。4ドアセダンだと旋回時の乗り味などで車体剛性がどうだといった注文が付くのでしょうが、ホイールベースを短くしているスポーツカーなら不問といってもいいところです。ところが新型ケイマンは車体剛性を大幅に引き上げてきたと伝えられています。ライバルのフェアレディZがBMWに匹敵するほど車体剛性の高いスカイラインの設計を使っているので、追従してきたようです。

  フェアレディZも新型ケイマン発表を受けて新型の発売が決まったようです。現行のZ34は2シーター高排気量のせいで日本ではあまり人気がありませんが、デザインは日本車の範疇から完全に飛び出したかのようにとても優れています。正面はどことなくGT-R風の印象のものですが、リアはアルファロメオの「アルファブレラ」のような丸みを帯びた美しいデザインをしています。内装は日産にしてはちょっと残念な印象はあります。エアコンの吹き出し口がなんだか韓国車にありがちな感じで、それ以外はCR-Zや86と同じようなレイアウトと色彩になっていて価格の割には地味な印象を受けます。内装こそ日産お得意の高級車調のものにするか、ジュークで発揮したような、アルファブレラに匹敵するような内装にしてほしいです(フェアレディZ"エゴイスト")。

  内装に関しては、今回登場する新型ケイマンは、去年出たボクスターに続き、先代より大幅に向上しています。センターコンソール付近のデザインが変わって高級感を出してきています。この方向性を受けて新型フェアレディZもスカイラインやフーガのインパネに近い高級仕様になりそうな予感です。ケイマンSとフェアレディZを比べると価格はZの方が約300万円安いですが、ケイマンSの方が車重が200kg軽く、MRなのでトラクション性能もよく加速能力はかなり上回ります。とてもいい勝負だと思います(悩ましいですね・・・)。

↓新型ケイマン発表のちょっと前ですが、「超激辛」の沢村慎太朗さんがZ34について語っています。

2013年3月26日火曜日

日産GT-Rが街中に増殖中?

  土日にちょっと遠出のドライブに出かけると、必ずと言っていいほどR35GT-Rに出会うようになってきた気がします。近所でも子供を助手席に乗せたお父さんが、まるでBMWかなんかに乗る感覚でR35GT-Rを使っている様子を見かけました。R35GT-Rもデビューから6年経ち、中古価格もだいぶこなれてきて、若い人でも頑張れば所有できる段階になってきた気がします。それでも車体価格に加えて維持費が年間100万円(駐車場・ガス・保険は別)というのはやっぱりまだまだ厳しい部分もありますね。

  このクルマはもちろん市販車ニュル最速の走りなんですけど、それ以上にデザインの良さにヤラれている人も多いようです。できることなら、Zやスカクーのスペックでこのデザインでクルマを作ってほしい気もしますが、それではGT-Rユーザーへの背信行為になってしまうので、それは出来ないでしょうね。現在ではR35GT-Rの中古車価格の底値がスカクーの新車価格にかなり接近してきて、これで維持費がスカクー並みだったとしたら自分なら買ってしまいますね。要はハイスペックだから高コストなので、ちょっと邪道ですが「デチューン・カスタマイズ」(パワーを出なくする)を日産が用意して、これを受けると、ブレーキやタイヤなどの維持費が大幅に安くなるみたいな制度があってもいいですね。そうすれば中古車の人気が出ると思うので価格もやや上昇気味になるのかな(日産にもメリットあると思うのですが・・・)。

  そもそも最新型では0-100km/hが2.7秒!で5秒足らずでリミッターに当ててしまう(かなり速いクルマでも5秒以内に100km/hすら達しない)性能は確かに日本車最強のカタルシスを感じさせてくれますが、自分のクルマにこの性能は要らないですよね。ポルシェ911ターボ程度の加速で十分です(笑)。こんな事が言えてしまうクルマが1000万円以下ってどんだけ世界のスーパーカーをコケにしてるんだろう・・・。欧州車はカタパルト(空母で飛行機を加速させる外側機械)でも使わない限り、0-100km/hはGT-Rには勝てないのではないでしょうか(スーパーカー消しゴム?)。ヴェイロンなんて最高速だけを目指して1億円ですよ、なんか間抜けじゃないですか。確かに日本に速度無制限アウトバーンが出来ればGT-Rや新幹線よりも速達の交通手段になることは認めますが・・・。

  来年に登場予定の新型スカクーのデザインは、このGT-Rへの複雑な思いに報いるようなデザインになるのではという予感がします。GT-Rを彷彿とさせるデザインのスカクースペックのクルマに限りなく近く仕上がってくるのではないでしょうか。あの究極のリアデザインを再現してくれるだけで個人的には大満足ですが・・・。内装からリアデザインから国内最高の実力があるメーカーだと日産は思うのでぜひぜひ期待したいです。

  

2013年3月25日月曜日

ジャガーXFは日本の若者に刺さるはずだが・・・

  このブログでは誰もが運転が「手段」ではなく「目的」になるくらいの最高のクルマばかりを語っています。その理由は日本ではクルマの維持費がとても高いので、お金を払っても乗っていたいと思わせてくれる「100%レジャー空間」なクルマじゃないといらないと私は思うからです。そこでそういうクルマばかりを、自分が買える範囲で追求していこうと思っているのですが、もともと日本車至上主義だったはずの自分の信念がだんだん揺らいできました。

  いままではドイツプレミアムが人気があっても、実際に700万円払って新車のセダンを買うならばレジェンドやマジェスタの方が断然に良いクルマに間違いないと思ってました(今でもそう思っていますが・・・)。例えばメルセデスのどこにレジャーを感じればいいのか全く分かりませんでした。BMW6やアウディTTのようなクルマには日本車にない魅力を感じたりはしますが、日本車がガチンコでライバルになる分野では絶対的に日本車が有利なので、ゴルフやBMW3が売れるのはおかしいというのが主張でした。

  しかしこのジャガーXFは見れば見るほどに、正面から日本車をなぎ倒すくらいのオーラを放っていて、もしチャンスがあるならこのクルマに乗りたいと考えています。まずなによりメルセデスには感じられない「レジャー空間」としての魅力に溢れています。これだけだったらレジェンドや日産の高級モデルの内装も同等の魅力があります。ジャガーXFの素晴らしいのは、日本車の高級セダンに感じる「年代の敷居」をあまり感じないことです。20台後半からでも自然に乗りこなせそうな若々しいデザインで、クルマの「対象年齢」はマツダのアテンザと同じくらいに感じます。

  ジャガーはもちろん年配の方にも憧れのブランドではあります。若者が乗るにはちょっと生意気というのが正直なところでしょうか。しかし結局フェラーリなどの一部の車種を除いてしまえば、中古車価格なんて散々なものですから「700万円するクルマ」なんて言われてもあまりピンときませんし、乗る時間が十分にある人なら300万くらい掛けてもいいんじゃないの?って思ったりします。ジャガーくらいで年寄りに気兼ねすることはないかなと思いますね(決してジャガーの価値は低いとは思いません)。若い人がこういう憧れのクルマに気持ちよく乗れない風潮が、日本に残っているところもあるようで、誤解されたくなくて諦めちゃう人も今の若い人には多いのかもしれません(300万円なんてプリウス買うみたいなものですよ)。

  「若者でも乗れる(乗りたい)ジャガーなのに、若者が乗りにくいジャガー」。そういう日本の風潮でジャガーというブランドはいまいち勢力を伸ばせていない感じがしますね(ジャガーの戦略が根本的に間違っている?)。あとは日本の自動車行政の過ちでガソリンスタンドが消えていて、同時にクルマ直す店も消えてしまっているので、ジャガーがマイナーブランドである限りは故障を考えるとかなりリスクがあります。実際2台持ちとかじゃないと楽しめないかもしれません。部品取りよせに時間がかかるので平気で1ヶ月使えなかったするとか・・・。そんな面倒もありますが、それでも乗りたいと自分は思ってしまいます( 勝手に乗ってろ)。
  
  

2013年3月21日木曜日

A80トヨタスープラはOEMで復活するか?

  トヨタはどういう意図かよくわかりませんが、最近はやたらとスポーツカーに執着しています。去年発売された86(スバルOEM)に加えて、さらに小型のスポーツモデル(独自開発か?ヤマハか?)とさらに大型のスポーツモデル(BMWのOEM)の発売が既定路線のようです。商機を見るに敏なトヨタがやることなので、今が旬なのかなとは思いますが、去年さんざん86を盛り上げてシーンを煽ったせいか、今年になってから急に86へのプロモーションがなくなり静かになった印象があります。モーター誌では連動企画で86のカスタマイズについての特集が毎号のように載っていますが、かつてのAE86が走っていたころほどにはカスタマイズを担当する拠点も少なくなり、トヨタが主導したエコカーブームでガソリンスタンドが全国で2/3に減ったことがその原因だったりするのは皮肉なことです。

  エコカーばかりが目立つ時代だからこそ、「80スープラみたいなクルマに乗りたい」と考えている人もけっこう増えて来ているというのも事実で、トヨタ内部でも「復活させたい」という意見が強く、モリゾー社長も「スポーツカーが作れないメーカーのクルマは流行しない」とまで言っています。ただBMWやスバルに作らせることで「作った」になるのかどうかは微妙な気もしますが・・・。

  トヨタにはかつてソアラとスープラの2台のスペシャリティクーペが存在していました。このどちらかをBMW6をベースとしたOEMで復活させる計画なのですが、このBMW製造のラグジュアリークーペを「レクサス」と「トヨタ」どちらのブランドで出すのでしょうか。レクサスにはすでに発売決定と言われているHVスポーツの「LF-LC」というモデルがあります。それでもなお現在ラインナップを欠いている「SC」の代わりにBMW車を置くという見方(ソアラ復活説)も有力です。一方でBMWのM6のようなハイパワーターボを搭載したモデルを「スープラ」として復活させるという見方もあります。これは先述のLF-LCと性格が似たクルマになってしまって効率が悪い気がします。トヨタとしてはHVスポーツなのか?ハイパワーターボなのか?それともNAのラグジュアリー仕様(ソアラ)なのか?の選択に頭を悩ませているのかもしれません。

  いずれにせよ、日本を代表するスーパースポーツカーだった「80スープラ」の代わりがBMWのM6に準じるモデルだとしたら、かつてのスープラファンは失望する部分もあるのかなと心配ではあります。「80スープラ」は全長が約4500mmで日本のスポーツカーとしてはやや大きめでしたが、それがいいというファンに支持されました。車重もノーマルで1500kgありましたが、ぎりぎり許容範囲の重さと考えられていました。それに対しBMW6は全長が約4900mmあり、車重に至っては2000kgを超えています。たしかに後席の居住性は大幅に向上するので歓迎する人もいるでしょうが、「80スープラ」のファンから見たらまったくの期待ハズレかもしれません。あとは細かい仕様でどこまで満足度を上げられるかにもよりますが、80スープラといえばあの「大掛かりな」コクピット調のインパネ辺りをどう再現してくるかがポイントだと思います。

2013年3月18日月曜日

アテンザが開けたドイツ車の風穴

  3代目アテンザが大人気になっています。「かっこよくなった」と言われてますが、それよりむしろマツダが売り方を工夫したことが大反響の要因じゃないでしょうか。モデルカーを発表して「このまま出します」とかいって注目を集めておいて、周知されたタイミングで発売するという絶妙な作戦だったと思います。発表してすぐ発売してもそこそこは売れたと思いますが、この1年がかりの作戦のおかげで従来マツダの車種なんて関知しない輸入車ユーザーを動員することに成功したようです。「国内生産維持!」を掲げるマツダのカタルシスをぶつけるなら輸入車ユーザーが効果的という判断も素晴らしいと思います。

  アテンザはBMW3をベンチマークして作られていますが、BMW3の最近3代(E46・E90・F30)とアテンザの3代(GG・GH・GJ)のデザインを比べてみても全く遜色ない出来になっています。特に先代のE90とGHを比べると、サイズの違い(GHの方が175mm長い)もありますが、伸びやかで造形美にも優れるGHの方が圧勝していることが分かります。これはBMWにとってもかなり衝撃的だったようです。エンジンの設定もほぼ同等で320iと20Sが4気筒NA。軽量化技術に勝るマツダのつくった車体はE90よりも大きいにも関わらず軽くハンドリングも軽快(BMWはトヨタに軽量化技術の提供を要請)。欧州仕様ではGHにディーゼルを搭載せいていて、これがMBやBMのものよりも性能がよく、さらにサスペンションの仕様もマツダの方がワンランク上(E90は前輪ストラトでGHはDWB)なので欧州ではBMW3(E90)より価格が高いMAZDA6(GHアテンザ)が良く売れました。

  危機感を持ったBMWが自信を持って2011年に送り出したのが現行のF30です。フロントデザインが「ホンダからMAZDAへ」変わったくらいに繊細な造形を見せ、ドイツ車の殻を破った傑作デザインとしてもて囃されました。エンジンも直4の2Lに2種類のターボを設定し、アテンザとの差別化(エンジンメーカーの意地)を図ってきました。しかし日本市場ではまさかのGJアテンザXD(クリーンディーゼル)投入で、ディーゼル対決へと急速に発展していて、どちらも販売の主流がディーゼルとなっている状況です。ディーゼルでははっきり行って燃費・トルク・走行性能・高回転・静粛性含めて全てマツダのディーゼルが上回っているので、先代以上に今度は欧州だけでなく、日本でも人気が逆転しつつあります。

  なんといっても日本の中堅メーカーが世界的ブランドBMWの主力車種である3
シリーズを技術とバリューによる正攻法で攻略したことは素晴らしいことです。マツダと同じ水準を持ち欧州メーカーを凌駕する力がある日産や三菱でも同じことができたはずです(実際に北米ではスカイラインがBMW3を倒しましたが・・・、あとGT-Rがポルシェターボも圧倒もしました・・・)。

  マツダのアテンザは初代(GG)二代目(GH)三代目(GJ)のどれをとっても素晴らしいクルーズカーだと思います。アテンザがスカイラインと違うのは、ハイパワーに頼ることなくドライブの楽しいクルマ、つまりクルーズカーとして最高のクルマを作ろうと考えて、そのジャンルの世界最高峰に位置するBMW3に挑みかかっていって周囲の予想とは裏腹に見事その座を奪ったことにあります。もちろんスカイライン(V36)もハイパワーで内装も素晴らしくGTカーとして高いステータスを持ったクルマです(北米でもドイツでも大人気です)。自分ひとりで突っ走るならスカイラインが楽しいですが、誰かを隣りに乗せて特別な時間を楽しむならアテンザじゃないかと思います。これからも日本のクルマメーカーにはこれらに続く素晴らしいクルマ、特にGTカーとクルーズカーを期待したいです。


↓このシリーズには珍しく写真に力入れてますね。CGの別冊か?というノリです。



2013年3月13日水曜日

ジャガーXF VS ホンダレジェンド

  どちらも新車で買えば本体価格600万円台の高級車で、メルセデスEやBMW5のライバルになるようなクルマです。このクラスのクルマにのるとデフォルトで「感動」レベルなので、ほとんど好みの問題になってくるんじゃないかとは思うのですが(そうじゃない人もいるらしい・・・)。日本ではブランド力で自然とメルセデス・レクサス・BMWが有利になるということもあるので、このXFとレジェンドはこの強力なブランド力を跳ね返す「ストロングポイント」があるクルマです。

  ジャガーXFは「M・L・B」(メジャーリーグ?)よりもラグジュアリー感を外観にまで滲みだしていて、より「クルーズカー」としての質感を高めたクルマですね。海辺に住んでいる人なんかにとっては、たまらない雰囲気を持ってます。エンジンもBMWと同等の2Lターボと3Lスーパーチャージャー(SC)を使っていて、まったく遜色ないです。3LのSCはなかなか珍しい設定で、低速域での加速性能に配慮していてまさに「クルーズカー」だな(ちょっとうるさいかも・・・)と思ったりします。

  このジャガーXFは中古車なら300万円程度で3~5年落ちのクルマが並んでいるので、その気になれば誰でも購入可能だし、割と現実的な選択かもしれません。同年式の中古車で比較するとメルセデスEやBMW5の方がジャガーXFより割高になっているので、メルセデスやBMWに思い入れが無ければ、ジャガーXFの方がむしろいいクルマくらいに思えるので断然お買い得とも言えます。レクサスGSは2009年くらいだと台数が少ないくせに、価格は下がり放題で中古車市場では一番の低評価ですね。ホンダレジェンドは走行距離にもよりますが、2009年製で8万キロ走行なら300万円を下回るようです。3.7LのNAエンジンなので、20万キロは軽く元気で走ると思われ、この5台(BMW5・MBE・GS・XF・レジェンド)の中では一番走行距離を気にせず買えるクルマです。

  ジャガーXFが「クルーズカー」なら、ホンダレジェンドは「GTカー」寄りのメカチューン満載のスーパーセダンです。このクラスの5台では、「レジェンド>XF>MBE=BM5=GS」というのが個人的な評価です。他の4台と比べ唯一の4WD車で、ワインディングのドライブには一見不利なように思われますが(4WD車は曲りづらい)、独特の高速域での安定したコーナーリングはFRを圧倒的に上回る旋回性能を発揮します。FR車で車重のあるこのクラスのセダンは高速コーナーではスピンに対する限界がやや低く、通常は重たくて切りづらいハンドルが装備されています。4WDの方が安定性が確保され技術の熟練されたメーカーの4WD(アウディ・ホンダ・三菱・スバル・日産)は総合的に乗り味が日々進歩していて、有利になってきています(燃費では不利だが)。

  クルーズカーなら低速域でも快適な3L(SC)のジャガーXF。GTカーなら高速安定性で圧倒的に優れる4WDの3.7L(NA)のホンダレジェンド。こういった強みのある個性的なセダンがなかなか日本で評価されないのはちょっと残念だと思います。近々機会があったらこの2台のどちらかを中古で購入して、思う存分に快適なドライブを満喫したいと思います。

<参考>
2009年製で比較・・・メルセデスE300(3.5L-NA) 約400万円
          BMW530(3L-NA) 約360万円
          ジャガーXF3.0(3L-SC)   約300万円
          レクサスGS350(3.5L-NA)    約270万円
          ホンダレジェンド(3.7L-NA)    約300万円

2013年3月8日金曜日

BMW135iクーペ VS アウディS3スポーツバック

  アウディの価格表を眺めていると思っている以上に高価な印象を受けますね、自然とBMWの価格が常識的に見えてくるから不思議なものです。BMW135iクーペ(565万円)に相当するモデルを探すとTTSクーペ(694万円)のようにかなり強気な価格設定が目立ちます。BMWにしてもアウディにしてもDセグの高性能モデルは800〜900万円になるので現実的な価格ではなくなってしまいます(GT-Rが買えてしまうと思っちゃいますね)。

  BMW135iクーペはまもなくBMW2シリーズの登場によりラインナップ落ちしてしまうでしょうが、輸入車としては納得のコストパフォーマンスを見せる貴重なクルマです。セダンにこだわるBMWにとって3シリーズや5シリーズとサイズが大きくなるにつれて、トヨタや日産の高級モデルに近い乗り味になってしまいます(日本の高級車がドイツ車に近づいているとも言えるが・・・)。よってBMWのラインナップで日本車から一番距離があるモデルと言えばCセグなのにFRだったりする1シリーズということになります。

  このクルマはしばしばポルシェ・ボクスター(584万円)と比較検討されるほどで、スポーツカーファンの熱い支持を受けるBMW屈指の走行性能を備えています(ボクスターもコストパフォーマンス抜群で大人気です)。しかも2シーターオープンのボクスターと違い4シーターのハードトップクーペなので実用性も高く、街の景色にも違和感なく溶け込めます(価格を考えるともうすこし目立ってもいいのかも)。むしろトヨタ86の方が目立つくらいです。それでいて300馬力オーバー(トルク40kg)の3L直列6気筒ターボを積んでいて、車重もBMW車としては軽量なので当然に運動能力は高いです。

  この価格帯のアウディのスポーツモデルをむりやり探してくるとすると、アウディS3スポーツバック(535万円)でしょうか。2Lターボエンジンで256馬力のスペックだけを見ると、日本車のスバルWRX(364万円)や三菱ランエボX(378万円)と比較して割高な印象も受けますが、内装・外装のクオリティはこの日本のスポーツカーよりも大きく勝っているので、価格には納得できます。また同じエンジンを使っているVWのシロッコR(515万円)やゴルフR(505万円)と比べればむしろお買い得な印象すらあります(デザインはシロッコRもいいですね、ゴルフはGTIグレードが368万円なのでゴルフRはちょっと高いですね・・・)。

  日本車には4500mm以下のクルマを4シーターで「豪華」で高性能に作ろうという発想があまりないように思います。このジャンルにおいてはドイツ車のクオリティの高さが目立ちます。発売当初から言われているトヨタ86のパワー&質感アップ(これをしたら低価格スポーツのコンセプトに反するので一概には言えないが)が熱望されているのも、日本において一定の需要があるからだと思います。500万円前後の価格帯でBMW135iクーペ(これもまもなく2シリーズで実質的に値上げか?)に匹敵する小型高性能4シータースポーツを日本メーカーにも考えてほしいと思います。RX-8(パワーと質感不足)の後継モデルや復活するシビックtypeRあたりに期待したいと思います。


   ↓これにBMW135iクーペが収録されていたら、「このクルマいいじゃん」ってなる   んじゃないかな?と思います(他は全て収録されています)。
  

2013年3月6日水曜日

ホンダ・レジェンド

  アテンザやクラウンの登場で日本でのセダンへの注目はかなり高まってきている中で、日本市場から去ってしまったホンダレジェンドはつくづく残念だなと思います。アテンザにしようかクラウンにしようか(もしくベンツかBMWか)と迷っている人がたくさんいると中には、ちょっと違うところを狙ってみようという人もいますよね。そこでクラウン並みに高級で、アテンザや欧州車みたく高速走行性能に優れたオールマイティなセダンを検索すると、このレジェンドが出てきます(アテンザからだいぶ距離がありますが・・・)。

  今まではあまり気にする人が少なかったですが、なんと言っても日本市場で最強のクルーズ&GTカーがこのホンダレジェンドだったわけで(どれだけ認知されているかは不明)、王者不在はいったいいつまで続くのだろう?と気になってしまいます。レジェンドの最大の魅力は「圧倒的な動力性能」と「かっこいいけど目立ちすぎない奥ゆかしさ」です。ホンダの開発者がスポーツセダンの意味を曲解して、セダンの形をしたスポーツカーを作ってしまったと評す人もいるくらいです。ホンダのフラッグシップセダンながらライバルであるはずのクラウンやフーガとは異質のクルマ(価格も高め)で、無理矢理にジャンル分けするならば、BMWのM5の日本車版みたいなクルマです(価格が違いすぎますが・・・)。

  このクルマなら日本を走る分にはE63AMGやM5と互角以上の性能があります(両車のオーナー様からしてみたら「ふざけんな!」かも・・・)。百歩譲って、日本を走るセダンはこの両車以外には負けないくらいの実力がレジェンドにはあります。しかも価格はこの両車の半額以下の新車乗り出し700万円でした・・・。量販価格帯のEクラスや5シリーズと同じくらいの価格ですが、中身は異次元の出来というクルマなのでもっと評価されてもよかったなと思います。ランエボとクラウンのいいとこ取りみたいな素晴らしいスーパーセダンだったわけです。

  ホンダとしては2004年の発売から8年が経過したので、一度引っ込めて来年(2014年)にまた「セダン型スポーツカー」として発売されることがほぼ決まっているようです。同時発売も噂されるNSXと同じパワートレインを持ってくるようなので、ついに本気でE63AMGとM5と肩を並べる500馬力オーバーになるかもしれません(価格はいくらになるのか・・・)。NSXのようなスーパーカーともなると今は500馬力を超えないと相手にされないようなので、それに準じるパワーがあってもおかしくないですね。ついでに価格も肩を並べちゃいそうですね・・・。