2013年6月14日金曜日

ボルボS80 「フォードが作ったレジェンド?BMW?」

  新型車やFMC自体の少なさもあるが、近年エコカー志向の逆風もあり、絶望的なほどにヒット車に恵まれていない「フルサイズセダン」(Eセグ)は、その存在価値が相当に怪しくなってきている。先日MCで大々的に日本でも展開を始めた新型Eクラスはデザイン面で見るべきものがあり、この逆境の中でそれなりに売れそうな気配はあるが、従来からのファンにはさまざまな仕様の変更が不評で、売れ残っている先代モデルがにわかに景気付いているらしい。

  日本車でもレジェンドが撤退し、フーガもレクサスGSも先の見えない販売不振に陥っている(はっきり言って新型アテンザに完全に喰われた!ようだ)。このままでは、後席の居住性を改善した「新型レクサスIS」に残りの客も全部さらわれてしまいそうな予感がする(アテもISも嫌いというセダン好きも結構いそうだが・・・)。とにかくEセグの魅力をしっかりと発信できるクルマが見当たらないという悲惨な状況だ。

  バブル以降の社会構造の変化もこのクラスの販売に大きく影響しているという見方もある。MBもBMWもレクサスも同じことがいえるが、世界の富裕層にとってみれば1000万円以上をクルマにかけることは大した問題ではないようで、Sクラス・7シリーズ・LSは先進国では確実に売れるし、むしろ上級グレードのほうが人気がある。一方でその下のグレードはというと、中流階級が無理して買うケースがほとんどでベースグレードにボリュームゾーンがきてしまう。よってプレミアムブランドはどこもEセグの低価格化に必死だ。しかしその努力は結局は「ブランドイメージの悪化」につながる悪循環ともいえる。

  Eセグ以上のセダンの最大の欠点は、1人で乗るのに適さないことだ。観光地などで大きなセダンに1人で乗っているのはとても恥ずかしい気がするのは自分だけじゃないはずだ。そもそも1人で乗っているだけだと、豪華すぎるほどに広い車内空間は持て余すだろうし、燃費も悪かったりするので、なにもいい事がない・・・。また奥さんと子供を乗せて走るクルマは「Eセグセダン」がベストかというと、必ずしもそうではない。むしろ最近の傾向としては、Eセグセダンより割安で高級感もあり、居住性も高い「高級SUV」の方が人気がある。いまでは各メーカーが一番力を入れるジャンルとして確立している。車種もたくさんラインナップされ、レクサス、BMW、MB、ランドローバーからラグジュアリーなSUVが発売され、家族連れの「定番車」としてこちらの方がウケている。

  それでも個人的な意見としては、「Eセグセダン」はデートカーとして「最高レベルのステータス」を誇っている。ドライブ好きの熟年夫婦ならスポーツカーのほうがシックリくるかもしれないが、若い未婚のカップルなら断然Eセグセダンがスマートに見える。20代や30代で新車のEセグセダン乗ってしまう独身男子は、クルマ別ではスーパーカー以上に「モテる」印象がある。しかし新車で買うとなると600万円以上は軽くかかってしまう。しかも主力のドイツ勢の最廉価グレードには、BMW528やメルセデスE250など4気筒のものまであったりして、これを選んでしまうと「スマート」ではなくなってしまいます。よってなかなか面倒くさいです。

  いっそのことエンジンは6気筒で3~3.7Lくらいの1グレードにしてほしいなと思います(もしくはアシストHV)。そういうクルマ作りをしているメーカーにはなんだか好感が持てます。6気筒以上のエンジンで統一してくれているプレミアムブランドのクルマとしては、「ボルボS80」「キャデラックCTS」があります。ボルボS80は3L直6ターボのAWDで、デザインはホンダ「レジェンド」を思わせるような「高級感」と「スポーティ」なイメージです。

  このS80はフォード傘下時代の開発なので、エンジンや設計はジャガーのXFと共通点が多いです。AWDのS80に対して、FRのジャガーXFの方が低価格の設定になっています。S80は同じフォード傘下だったマツダのハンドリング技術がAWDのS80には使われていて、電動パワステながら定評のあるハンドリングが魅力です。ジャガーXFは直4ターボ化が発表されていて、さらなる低価格戦略でドイツ勢と競合するようですが、同時にブランド価値の低下がやや懸念されます。一方でボルボは、ドイツ勢の「逆」を選択していてより重厚感のある開発スタンスを取っています。BMWからフェードアウトしつつある「直6ターボ」を前面に打ち出したスポーティさで、ドイツ勢を性能面で上回るという方向性が感じられて、今後さらに期待できる予感があります。

  

   

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