2013年6月5日水曜日

レクサスISとBMW3 「クルマの本質が見えにくい『八方美人』っぷりに疑問」

  「レクサスIS」と「BMW3」どちらもベースグレードで総額500万円するのだから、「満足度」はそこそこ高いクルマであることは間違いない。大衆車と変わらない性能だと考えると「高い」が、高級車の中では「格安」という二面性を持っているので、当然ながら「毀誉褒貶」が激しく、人によってまったく別の評価だったりする。さらにややこしいのが、クルマそのものへの評価云々ではなく、「レクサス」と「BMW」というブランドの価値も評価に含まれてしまうので、そのブランドの好き嫌いでも大きく意見が分かれてしまう。

  どちらもブランドの屋台骨を背負うクルマであることには「異論」の余地はない。そういうクルマは多様なニーズに応える必要があるので、「廉価グレード」「低燃費グレード」「高性能グレード」と大きく設定が分かれてしまうので、余計に「単一車種」としての評価は下しにくい(スタイルや内装に関しては一定の評価はだせるが・・・)。本来、高級車はその設計に一番理想的なパワーユニットを積んでいるべきものだと思うが、日本車やドイツ車には「高級車の廉価グレード」という訳のわからないものが溢れている。

  しかし昨今の消費行動はそういう「訳のわからない」ものを避ける傾向があるようで、この両車の最量販グレードは「廉価グレード」ではなく「低燃費グレード」へとはっきりと移っているようだ。どちらもモデル全体の半数以上のシェアを「低燃費グレード」が持っている、とくに全体の8割に迫ると言われるほど好評なのはディーゼル仕様のBMW320dだ。現行モデルから日本でも大々的に「ディーゼル搭載モデル」が発売されて、その価格設定(ディーゼルだから当然安い)も大いにウケているようだ。ただこれほどまでに極端に販売が集中してしまうということは、従来からあった「ガソリンモデル」の評価が「十分に確立していない」ことの裏返しといえる。とくにBMWは先代モデルから4気筒ターボへの積み替えが急速に進んでいて、「500万円の4気筒車」に対して厳しい評価があるのも事実だ。

  現在のBMWは4気筒への置き換えと同時に、さらなるブランド価値向上を目指し、「直列6気筒+HV」(アクティブハイブリッド)と「V型8気筒」エンジンを搭載した「上級モデル」の拡充にも力を入れている。ここまで「露骨」に二極化が進められると、BMWの4気筒モデルは、たとえば男性服の高級ブランド「ポールスミス」における「PSライン」のような「ライセンスプロダクツ」(疑似ブランド)の態に見えてしまう・・・。結局このBMWの戦略は日本においてはうまく機能してはいない。500万円をクルマに注ぎ込める日本人の客層は、世界で「最も賢い消費者」といっても良いほどでこの手の「商法」には敏感に反応して購入を控えてしまうようだ(同じような手法で儲けている人々なのだから当然だが)。当然の結果ながらBMWは「高性能グレード」も「廉価グレード」も販売が振るわず、販売の8割が「エコカー」なのだから、もはや「エコカーブランド」(ディーゼルカー・ブランド)と言ってしまっても差し支えないと思う。

  これはレクサスに対しても同じことが言える。高級車の象徴とも言える「大排気量」のグレードで軒並み大苦戦を強いられていて、販売の主体は「ハイブリッド」に大きく依存した体質になっている。さらにGSとISの「廉価グレード」で使われている「V6の2.5Lエンジン」も基本設計が古いということもあり、パワーも無く燃費も悪いので、最新型のプレミアムカーに搭載されるようなものではないように思う。このエンジンの開発費の「減価償却」はとっくに終わっていて、本体価格250万を下回る「マークX」に搭載されるものと共通のエンジンに過ぎない。そんなクルマに500万円を払う価値があるのかどうか疑問だ・・・。

  結局レクサスISもBMW3も「エコカー」として買うか、「高性能車」として買うならまだまだ賢い買い物になるとは思うが、「廉価グレード」に関してはちょっとオススメできない。


「最新投稿まとめブログ」へのリンク


0 件のコメント:

コメントを投稿